引退の杉内、2人の恩人に感謝 「王会長は次のチャンス下さった」 「斉藤氏は勝利への執念、僕より上」

2010年の日本ハム最終戦で完封勝ち、雄たけびを上げる杉内
2010年の日本ハム最終戦で完封勝ち、雄たけびを上げる杉内
写真を見る
2004年のロッテ10回戦でベンチを殴打する杉内
2004年のロッテ10回戦でベンチを殴打する杉内
写真を見る

 巨人の杉内俊哉投手(37)が12日、東京都内で会見し、今季限りでの現役引退を発表した。福岡ダイエーと福岡ソフトバンクで10年、巨人で7年ユニホームを着て、現役2位の通算142勝、同最多の2156奪三振をマークした左腕は会見で号泣。プロ入り時の監督で恩師でもある福岡ソフトバンクの王貞治会長(78)や、ホークス時代に「先発4本柱」として切磋琢磨(せっさたくま)した斉藤和巳氏(40)=本紙評論家=に対する感謝の思いを口にした。

■後輩を応援…引き際悟る

 数え切れないほど多くのタイトルを手にした。日本一の美酒も味わった。そんな杉内が17年間の現役生活を「順風満帆ではなかった」と振り返った。「たくさんの失敗をして怒られて、過ちを犯して…。マウンドから逃げ出したいという気持ちに何回もなった」。ふがいない自らの投球に立腹し、ベンチを殴打して両手の骨を砕いた2004年。当時の王監督は、体だけでなく心に深い傷を負った23歳を責めなかった。逆に「杉内に、そういう闘志があることが俺はうれしかった」と励ました。恩師からの一言は今でも忘れられない。

 「(これまで接した多くの野球人の中で)勝利への執念という部分では一番持っておられる方。連敗するとすぐミーティングとなる。選手も悔しかったけれど、王会長自身も悔しかったと思う。あのときも、次のチャンスを下さった。そのおかげで今の僕はある」

 悔しさや怒りが何よりのエネルギーになることを教えられた。「戦場」と言い切るマウンドでは不安や弱みを一切見せないことを己に課した。「勝負師」として生きていこうと心に誓った。手本になる投手が身近にいた。斉藤和巳氏だ。

 この日の会見では最も影響を与えてくれた人物に挙げた。「絶対的エース。あの人にはかなわないな、とずっと思っていた。味方が2点取ったら1点、仮に1点なら0点に抑える。大事な試合では必ずいいピッチングをするし、勝つ投手。勝利への執念という意味では僕よりも上だった」

 目指していた投球を、最高の形で体現した試合が二つある。一つが2010年9月の日本ハム戦。ダルビッシュ有に1-0で投げ勝ち、優勝へのマジックを「1」とした。もう一つが巨人移籍1年目の12年5月の楽天戦。田中将大との投げ合いを2-0で制し、無安打無得点試合を達成した。

 16年からの3年は股関節や左肩を痛めた影響で1軍での登板機会がなかった。ファームで若い選手と同じ時間を過ごす中で、本来の自分の姿ではないことに気付いた。「心から…」と声を詰まらせ「心から後輩を応援するようになったというか…。どこかで野球選手でなくなっているなというのがあった。勝負師としては違うかなと」。それが引き際を悟った瞬間だったという。燃え尽きたサウスポー。まとい続けた“心のよろい”を脱ぐと、ほおを熱いものが伝っていった。 (西口憲一)

=2018/09/13付 西日本スポーツ=

今日の西スポ紙面はこちら 西スポプラス

西日本新聞のイチオシ [PR]

ソフトバンクホークス選手の写真販売中!

西日本新聞のイチオシ [PR]