勝ち星ゼロの苦境救った 父直伝のフォーク/ホークス1位・甲斐野央3

東洋大のユニホームでマウンドに立つ甲斐野
東洋大のユニホームでマウンドに立つ甲斐野
写真を見る

 今秋のドラフトでホークスは支配下7人、育成4人の計11人を指名した。3年連続日本一を目指すチームに加わる平成最後のルーキーたちを紹介する。

   ◇    ◇

 本格的な投手転向から実質2年。プロを目指し東洋大の門をたたいたが、強豪がひしめく東都大学野球リーグは甘くなかった。1年秋に初登板を果たすが、3年春まで勝ち星はゼロ。厚い壁にはね返され続けた甲斐野を救ったのは、父有生直伝のフォークボールだ。「小学生のころ、家にいる時は人さし指と中指に1キロの鉄アレイを挟むよう、父に言われていた」。そんな素地が彼を救った。

 高校時代、決め球として自信を持っていたスライダーが大学では通用しなかった。悩みが深まる中、有生の言葉で光が差した。「手が大きいんだからフォークを投げてみたらどうだ」。わらにもすがる思いで投げてみると、打者のバットが面白いように空を切った。

 尊敬する先輩の存在もある。「僕が1年の時の4年生。あれだけストイックじゃないとプロには行けないんだなと思った」。東洋大姫路高、東洋大と進み、ドラフト1位で2016年にヤクルトへ入団した原樹理だ。

 球速を伸ばそうと試行錯誤した甲斐野がたどり着いたのが体重アップ。「原さんが1日6、7回食事を取っていたのを見て、自分もやってみようと」。入学時から15キロ増量したことで、最速も143キロから159キロまで上昇。結果的には「体重1キロ=球速1キロ」と功を奏した。

 磨き上げたフォークと威力を増した真っすぐ。二つの武器がそろい、飛躍の時がようやく来た。3年秋、これまでの鬱憤(うっぷん)を晴らすかのように次々と打者をねじ伏せた。5勝を挙げ、最優秀投手とベストナインに輝くと、一気にアマ球界の中心に躍り出た。今年7月の日米大学野球(米国)、ハーレム国際大会(オランダ)では日本代表として計9試合13回1/3を無失点、24三振を奪う快投を見せ、スカウト陣をうならせた。

 「自分は雑草」。そう語る甲斐野は運命のドラフト会議から約3週間後の11月16日、自らの誕生日に母映子へ1通のメッセージを送った。「生んでくれて本当にありがとう」。順風満帆ではなかった野球人生を支え続けてくれた両親へ、次はプロでの活躍を届ける。 (文中敬称略)

=2018/12/11付 西日本スポーツ=

今日の西スポ紙面はこちら 西スポプラス

西日本新聞のイチオシ [PR]

ホークス下剋上日本一!西スポ2018アーカイブス

西日本新聞のイチオシ [PR]