異例の長期 ソフトバンクが中村晃と「4年契約」した理由

契約更改後、会見に臨む中村晃。奧は北村弁護士
契約更改後、会見に臨む中村晃。奧は北村弁護士
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 ソフトバンクの中村晃外野手(29)が22日、ヤフオクドーム内で契約更改した。年俸1億6000万円から8000万円アップ、2億4000万円プラス出来高の複数年契約。その出来高は翌年のベース年俸として上積みされていく破格の条件ながら、4年という契約年数も好条件といえる。(金額は推定)

 中村晃は順調なら来年に国内FA権、2020年に海外FA権を取得する。選手としての一大転機であり、価値を最大限にアピールできる時期ともいえる。昨年から代理人として北村晴男弁護士(62)を招いたのも、FA権取得を見据え球団と交渉するためだ。

 FA権を初取得した選手を所属球団が慰留、または他球団が獲得する際には、総じて複数年契約が提示される。この際、権利の再取得に必要な4年間を保証する意味合いで、4年契約が提示されることが多い。

 また、FA権の取得前に、前もって複数年契約を結ぶケースもある。ソフトバンクでは17年オフ、柳田が18年からの3年契約を締結。これは18年の国内FA権取得を見込んだものだった。

 柳田の場合は、海外FA権を得る2020年シーズン終了後に進路を選べる余地を残した3年契約ではある。とはいえ、中村晃の4年契約には、球団の大きな期待がうかがえる。

 なぜ4年だったのか。三笠球団統括本部長は「海外FA権を取った後もずっと、長くやってもらいたい。
技術もあるし、まだまだやれることも見越して」と説明した。

 13年から6年連続で規定打席に到達。その間、打率は2割台後半~3割超で安定している。今季は打撃スタイルを転換して長打を求め、初の2桁となる14発をマークしつつ、打率も2割9分2厘の数字を残した。来季30歳の中村晃に、球団は向上の余地も見ている。

 多くの打順に適性を示し、外野と一塁をこなせ、布陣に幅をもたせられるのも貴重。また、もし柳田が20年オフに海外FA権を行使し、中村晃も長期で引き留められていなければ、外野の現レギュラー3人で残るのは上林だけ。そうした場合も想定したリスク管理も、球団にはあるだろう。

 そしてもう一つ、同本部長のコメントに興味深い内容があった。「本人にも話をした。育成から支配下になった選手がフィーチャーされる(取り上げられる)けど、彼(中村晃)も入団したころは2軍でやって、1軍定着をするかしないかといった時期が何年かあって。その後、レギュラーに定着をして今、ホークスを代表する選手になっている」

 11年から3軍制を敷き、多くの育成選手も抱えるソフトバンク。千賀や甲斐のような育成出身をはじめ、自前のたたき上げも多い土壌をアピールしている。育成出身ではないが、中村晃も高校生ドラフト3巡目(当時は大学・社会人との分離ドラフトだった)から、のし上がった選手には違いない。

 補強と両輪を成し、球団が掲げる「育成」のシンボルの一人なのだ。同本部長は「取り組みも含めて、お手本になる選手」と評価。「プロ野球選手だから当然、自身のパフォーマンスを最大にするのが仕事なんですけど、折を見て若い選手に声を掛けて…というところも期待していると話をしました」と明かした。

 「一年一年、勝負だと思ってますし。毎日が勝負だと思って、一日一日をしっかりやっていきたい」。もともと浮ついたところがない中村晃は、契約後も淡々と言った。「まだまだ野球がうまくなりたい気持ちはありますし。立ち止まるつもりは全くないので。今まで通り、頑張っていきたい」。破格の契約の価値と重み。それを受け止めて、サインしたはずだ。

=2018/12/23 西日本スポーツ=

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