ソフトバンク本多コーチ「試合を動かせ」 34歳新米指導者の試行錯誤

練習に交じり松田宣(右)、内川(手前)らとランニングメニューに挑戦する本多コーチ(右から2人目)
練習に交じり松田宣(右)、内川(手前)らとランニングメニューに挑戦する本多コーチ(右から2人目)
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本紙のインタビューを受ける本多コーチ
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走塁の指導をする本多コーチ(右)
走塁の指導をする本多コーチ(右)
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キャンプ初日、川瀬(左)への走塁指導に当たる本多コーチ
キャンプ初日、川瀬(左)への走塁指導に当たる本多コーチ
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背番号80のユニホームに身を包みノックバットを振る本多コーチ
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影が長く伸びるまで行われた、本多コーチ(右端)の走塁教室
影が長く伸びるまで行われた、本多コーチ(右端)の走塁教室
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 昨シーズン限りで現役を引退、指導者となったソフトバンクの本多雄一内野守備走塁コーチ(34)が宮崎春季キャンプで精力的な姿を見せている。昨年のソフトバンクは2年連続日本一になったが、優勝を逃したペナントレースではリーグ5位の80盗塁。チームは走塁の「革命」に乗り出しており、その中心で情熱を注ぐ若き指導者の思いを聞いた。(聞き手・構成=久保安秀)

■思いを共有して前に

 -精力的に動く姿が目立っているが、第2クールまではイメージ通り?

 「まだまだ試行錯誤中ですね。イメージもまだ湧かない。若手、中堅、ベテランもいるので。まず選手自身を見ていきたい」

 -現役時代に一緒にプレーしてきた選手ばかり。

 「性格も野球への姿勢も分かっているけど、そのままの感覚でいかないようにしようと思っている」

 -思い描くコーチ像は。

 「高校、社会人、プロを通じ、いろんな指導者と出会ってきた。自分は選手との対話、会話を大事にしようと思っているし、これまでもそうやってきた。会話するのは普通のこと」

 -対話、会話は「一方通行」ではできない。

 「選手のことは選手自身が一番考えている。その中で自分がどうサポートしていくか。どうしたらいいか聞いてもらったり、それに答えたり。それはごく普通のことで、これまでもやってきたこと。特別なことではない」

 -個々の選手への助言や答えは準備している。

 「選手にこちらから『答え』を与えることはないでしょうね。143試合は長いので、体の状態や気持ちなどいろんなことを理解できた上で、答えを引き出したい。それこそが対話だと思う。やるべきことやアドバイスは選手によって違うし、難しいところ」

 -選手の本心を知るには信頼関係が大事になる。

 「いろんな選手がいる。特にベテランには自分より経験がある人もいる。それでも悩みなどはあるはずで、そこをサポートしたい。ただ、まずは選手自身の『引き出し』で対応した方がいい。こちらから与えるばかりでは成長しない」

 -行き着く答えが一緒でも、それは変わらない。

 「例えば、選手に『こういうケースではこんな打球が来る可能性がある。今の動きだと正直怖い。どう思うか』という質問を投げ掛けた場合でも、『こうした方がいい』という答えは押しつけない。『怖い』という状況を共有できたときに、お互いの思いがかみ合って前に進める」

 -自分の答えを押しつける指導者も少なくない。

 「いろんな指導者がいるので…(苦笑)。ただ、選手によっては『こうやるべきだ』という答えを押しつけるケースがあってもいいかもしれない」

 -広い意味でノックも「会話」の一つだと思う。キャンプ前にノックの自主トレをしたと聞いたが、気持ちも力も入っている。

 「自主トレはしましたね。いろんなアドバイスももらいますが、まずは自分のスタイルで。力んでいるのは、現役時代からノックは速い打球がいいと思っていたから。今はこのままいかせてください(笑)」

■「第二の本多」育てる

 -指導者として、誰のどんな部分を理想としているか。紹介できる範囲で。

 「コーチになったばかりなので、それは控えたい。周りは年齢も実績も上の方ばかり。長くキャリアを積んだら、言えるかもしれませんね」

 -キャンプから実戦へと進むに従い、レギュラーも決まってくるが、全ての選手に共通して求めるのは。

 「自らゲームを動かしてほしいという点。現役時代は『自分が何かを起こそう』と思ってずっとやってきた。ゲームを動かす気持ちをレギュラー陣にも途中から出る人にも持ってほしい。特に調子が悪いときこそ持っていてほしい」

 -盗塁は試合を動かす武器となるが、昨季はリーグ5位の80盗塁。近年は数字を積み上げられていない部分の“改革”にキャンプで挑んでいるように見える。

 「盗塁のスタートをビデオ撮影している件ですね。自分のイメージと、実際の映像はどこか違うところがあるはずなんです。自分がそうだった。いい走りと思っていたのに、始動からイメージとずれていた。確認すれば、そこに『何で』が見つかる。まず、自分を知るところから入ってほしい。それを知ることでコンマ何秒でも速く次の塁に到達するきっかけになる」

 -高い技術を学ぶための「始まり」になる。

 「しっかりした技術が身について、自分の走りが100パーセントであれば、どんどん走っていい。相手投手のクイックが速い。捕手の盗塁阻止率が高い。だから走らない、というのでは困る。そんな状況でも勝負できるスタイルをつくってほしい」

 -それがゲームを動かすことにつながる。

 「チャレンジは盗塁ばかりではないんです。例えば、大きなリードで偽走に徹することや相手投手のワンバウンドに集中して次の塁を奪うことも、ゲームを動かすことにつながる。走塁はもちろん、セーフティーバントなどでもいかに嫌らしく、相手捕手の腰を浮かせたりするか。それも楽しいんだと考えて、グラウンドに立ってほしい」

 -前年より失策が増えた守備面でも改革が必要か。

 「守備の改革は考えていない。基本に忠実なのが一番。例えば二塁送球が少し低くなっても、ダブルプレーは取れない。捕って投げる正確さを、あらためて練習から100パーセント求めたい。今から『改革』を求めて守備範囲を広げたりするのは、かえってミスやロスを生む。しっかり状況を判断して自分の形で正確なプレーをする。そこをチェックしていきたい」

 -自身が守ってきた二塁は近年固定できていない。

 「僕、(川島)慶三さん、(明石)健志、高田、西田…たくさんいた。昨季は(三塁の)松田(宣)さんもパッと代えられた時期がある。正直、いつ誰がどうなるか分からない。イメージとしては、内野手全員が『打って守って走って』ということを望んでいる。そうすれば、代えは要らない。誰がどことは、まだ自分の口からは言えない」

 -決断する時期は来る。

 「キャンプを中盤ぐらいまで見れば、この選手は絶対にレギュラーを狙っているな、と感じるはず。全員がそういう思いでやっていくことが、チームの強みになる。そんな中で一つ二つ、プレーや気持ちで抜け出した人の勝ち。全員が一つのポジションを143試合守るんだ、という気持ちでいてほしい。僕は絶対にセカンド一本でという気持ちだった。ユーティリティーではなく…。必要なのはそこだと思う」

 -その後押しをコーチとしてやっていく。

 「去年まで選手だった本多雄一がコーチになった。関係はこれまで通りでもいい。ただ、コーチとして厳しいことを言う時が出てくる。年が近い『本多コーチ』になって、気が緩むこともきっと出てくる。そういうときはしっかりと言わせてもらう。人によって態度を変えるのは一番駄目。今は『コーチ』として選手をしっかり見ている」

 -全ては勝利のため。

 「気にしているからこそ、グラウンドで気を抜いたプレーをすれば、目につく。指摘するし、そんなプレーをした理由を聞くことも出てくる」

 -選手にどう伝え、どう育てるか。チームはどうなるのか。シーズン後もインタビューをお願いしたい。

 「僕がコーチになってBクラスになるのは絶対に嫌ですから。必ず優勝したい。そのときにまたお願いします」

 -現役時代を見た立場としては、「第二の本多雄一」も見たい。

 「その思いは持っています。頑張ります」

◆本多雄一(ほんだ・ゆういち)

 1984年11月19日生まれ。福岡県大野城市出身。鹿児島実高から三菱重工名古屋を経て、大学・社会人ドラフト5巡目で2006年に福岡ソフトバンクに入団。10、11年に盗塁王、11年にベストナイン、11、12年にゴールデングラブ賞を獲得。今季から福岡ソフトバンクの内野守備走塁コーチ。174センチ、72キロ。右投げ左打ち。

=2019/02/09付 西日本スポーツ=

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