第1話「バレンタイン」と美月うさぎさんインタビュー
人気漫画誌「モーニング」で話題を呼んだ「チクホー男子☆登校編」の作者、美月うさぎさんの新作「チクホー家族」が西日本新聞筑豊版で始まりました!
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第1話の筑豊弁
ムゲない…かわいそうだ
ゾゴゾゴする…寒気がする
つぶんとした顔…決してかわいいとはいえない顔
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男子高校生による筑豊弁丸出しのやりとりを描いた漫画「チクホー男子☆登校編」。昨年、人気漫画誌「モーニング」で連載され「方言がきつくて意味が分からないけど、何か面白い」と全国で話題を呼んだ。西日本新聞筑豊版でも19日から、同じ高校生が登場する「チクホー家族」が始まった。鞍手郡出身の作者、美月うさぎさん(40)=ペンネーム=に漫画へ懸ける思いを聞いた。
-漫画家になったきっかけは?
「子どものころから絵を描くのが好きで、漫画も描いてたんですが、高校以降はその世界から遠ざかっていました。きっかけは6年前の夫からのプレゼント。専業主婦で無趣味な私へ『漫画を描いてみたら』と専用タブレット端末や電子ペンを買ってくれました。最初は電子ペンに慣れなかったけど、徐々にインターネットで作品を公開するようになりました。『美月さんの絵が好き』って反響があるのが、本当に楽しくて」
-「チクホー男子☆登校編」はどうやって誕生しましたか
「作品の一つを、講談社のモーニング編集部の方が気に入ってくれたんです。後々担当になる方です。2013年6月に『会って話しませんか』とメールをくれました。びっくりして、最初は大手出版社をかたる詐欺かと思いました」
「会ってみると普通に仕事ができそうな方で(笑)。方言を使った漫画を描いてみないかと提案されました。ネットで公開していた筑豊弁を話すキャラクターが気に入ったようです。人気漫画誌に自分の作品が載るなんて夢のような話。なかなか信じられなくて、半年ぐらい返事に時間がかかりました」
-方言がリアルですよね
「同じ筑豊でも嘉飯や直鞍、田川では単語やアクセントが違いますよね。年代によってもそう。地元に住む親戚の男の子の話し方を参考にしました。作中のくだらない会話は、75歳の母と私が実際にしたものがほとんどです。恥ずかしい(笑)」
-地元愛を感じます
「『福岡県の方言=博多弁』『筑豊=乱暴』といった世間の思い込みがすごく嫌なんです。方言丸出しで意味が読者に伝わるか不安でしたけど、筑豊弁でクスッと笑える漫画を描けるのは私しかいないと思って。誰にでもある何てことのない日常の話を、くだらないなと笑い飛ばしてくれたら狙い通りですね」
(聞き手は中島早貴)
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美月さんの新作「チクホー家族」は原則、隔週木曜に筑豊版で掲載します。登場人物は、強面ながら大のおばあちゃん子の岩男(17)と、川筋気質の勝ち気なばーちゃん(75)。2人が織りなす筑豊弁丸出しの会話をお楽しみください。
西日本新聞経済電子版「地元女性の“筑豊”漫画、全国デビュー」はこちら
=2015/02/19付 西日本新聞朝刊=