[2015年]【地方議員とカネ~オフレコ話】(2)ポスト求め「群れ」の中

西日本新聞

賛成の起立をする議員たち。福岡県議会では、執行部議案が長年、否決されたことはない 拡大

賛成の起立をする議員たち。福岡県議会では、執行部議案が長年、否決されたことはない

 福岡県桂川町のゴルフ場に昨秋、県議たちが集まった。年4回の定例議会前に恒例の親睦大会。上位入賞者には、豪華景品が贈られるという。

 大会直前、議長室のいつもの光景。「先生、また景品代をお願いに参りました」。カンパ集め担当の議員に、議長はポケットマネーの3万円を差し出す。「毎回、数万円分の商品券を出しよったよ」と振り返る副議長経験者もいる。

 議員たちは、党県連の政治資金パーティーの時期が近づくと、気が重くなる。2万円のパーティー券を30枚ほどさばくのがノルマ。「身銭を切らされて、かなわんばい」。業界団体や大口企業の後ろ盾がなければ、売り切るのに難儀する。

 若手がさばききれないパーティー券は、ベテランが引き取ることもしばしば。党への貢献と同僚議員の信頼。地道な積み重ねが、組織における確かな地歩を占めることにつながる。世間一般に理解されにくいことも承知はしているが。

 「不平不満はあろうが、決して群れからはぐれたらいかん。俺たち議員は、群れにいるから強いんだ」。元県議の耳に、先輩議員の言葉がこびりついている。

 「群れ」とは、最大会派の県議団を指す。自ら掲げる政策の実現も、地元予算の獲得も、与党会派に籍を置くことが近道だという教えだった。数の力にものをいわせる政治には疑問もあった。一方で、現実を目の当たりにした。「母校の校舎建て替えを先輩議員に頼むと、とんとん拍子で進んだ」。当選を重ね、仲間に認められ、議長や副議長などのポストに就くことが影響力を強める。

 県議会は1年ごとに正副議長が代わるのが慣例だ。選出された新議長はその当日、県職員の秘書をあてがわれる。あいさつもそこそこに、「自己資金」から秘書に現金100万円を手渡すという。「公費で出せない出張先での飲食代や、付き合いの金などの財布代わり。なくなれば、また補充する」(議長経験者)

 公費で賄われる議長交際費は、名刺代や公的行事の会費、来賓への記念品代など使途が限られる。議会内の行事や会派の懇親会には「参加したら5万円、参加しなくても3万円」といった調子で、預けた財布の中身は減っていく。「年間300万円ほど使った」と明かす経験者もいる。

 なぜ、金とポストをめぐる群れのルールから抜け出せないのか。議長になると、政治資金パーティーは各界代表が参加して盛況。議長からさらに上り詰めた県議団会長の部屋には、資料を抱えた職員が鈴なりの列を成す。名誉と実利、なれ合いと紙一重の根回し-。4期16年を重ねた現職は、執行部の議案が否決される場面を見たことがない。

=2015/04/08付 西日本新聞朝刊=

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