[2015年]地域の退役庁舎、どう活用 「大合併」後放置、物置化…

西日本新聞

書類の入った段ボール箱が置かれた福岡県旧筑穂町の議場。合併前の議員の名札もそのまま残る 拡大

書類の入った段ボール箱が置かれた福岡県旧筑穂町の議場。合併前の議員の名札もそのまま残る

 平成の大合併に伴い、役目を終えた旧議会の議場や公共施設をどう有効活用するか-。統一地方選で、そんな課題が問われる自治体は少なくない。活用策が宙に浮き、放置状態となっている所があるからだ。地方は人口減少に拍車がかかり、財政事情は厳しさを増す。住民ニーズを踏まえた工夫が求められている。

 議員の名札ボードや約40人分の傍聴席が残る。福岡県飯塚市の筑穂支所5階の、普段施錠している一室を開けてもらうと、今からでも一般質問が始められそうな議場の風景が広がった。市の物置場になっており、床には書類を入れた段ボール箱が100以上あった。

 旧筑穂町は2006年、5市町合併で飯塚市となった。「議場は段差や据え付けの机があり、構造上、別の用途に使いづらい。どう活用するか具体的な検討に至っていない」(同市)といい、ほぼ合併前のままだ。

 飯塚市議選(19日告示、26日投開票)は、前回まで旧1市4町ごとの選挙区だったが、今回から全市域を1選挙区に統合して実施される。旧議場をどう活用するか論戦が期待される。

 ■ホールに改装

 西日本新聞が昨年12月から今年1月にかけて実施した九州7県の合併自治体(99市町村)のアンケートでは、空きスペースとなった議場を「活用していない」「検討中」との回答が、全体のほぼ2割の20市町村あった。「活用している」自治体も、書庫や物置としての利用が目立つ。

 改築には経費がかかる。05年に旧杵築市と山香町、大田村が合併した大分県杵築市は、旧山香町役場を段階的に改築した。合併後、旧町が計画した文化施設が白紙となり、「町役場周辺が寂しくなった」と住民から不満が寄せられた経緯も考慮した。10年には議場と議員控室を多目的ホールに変え、図書館や防火シャッターなどと合わせた改築費は約1億3600万円に上った。

 ホールでは、市民の伝統芸能の発表やカラオケ、映画の上映が行われ、市は「地域のよりどころになっている」という。

 ■議会限定復活

 2町合併で誕生した鹿児島県錦江町は、旧議場でほぼ10年ぶりに議会を「復活」させた。05年の合併後、町議会は旧大根占町に置いているが、昨年12月の定例会は旧田代町の議場で開いた。地域の要望を受けた初の試みは、9月定例会の倍以上の傍聴者でにぎわった。町は今後も旧田代町での定例会を検討する。

 辻琢也一橋大副学長(行政学)は「議場を含めた旧市町村庁舎は思ったほど活用されていない。自治体の税収が減る中で、利活用や整理統合は今後のまちづくりを考えていく上で避けて通れない」と指摘する。

=2015/04/17付 西日本新聞朝刊=

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