福岡市で草場さん 貧困夢諦めないで 格安の学習塾運営

西日本新聞

ひとり親家庭の子どもの学習支援に取り組む草場勇一さん 拡大

ひとり親家庭の子どもの学習支援に取り組む草場勇一さん

 金曜の夜、福岡市西区のマンション内の多目的ルーム。ヘッドホンを着けた中学生8人が長机でパソコン画面を見つめていた。カチカチ…。静まり返った部屋にパソコンのマウスをクリックする音が響く。「どこで間違った?」。様子を見守っていた草場勇一さん(44)が時折、子どもたちに話しかける。

 パソコンを活用した低料金の個別指導塾「スタディプレイス」。草場さんは運営するNPO法人「エデュケーションエーキューブ」の代表で2014年2月に開講した。有名塾の講師の授業内容をアニメキャラクターが再現するソフトを使い、英語や数学、国語のドリルを解く「eラーニング」(情報技術を活用した学習)を実践している。

 通う中学10人、小学2人の半数がひとり親家庭の子どもたちだ。個別指導塾は多数の講師を配置する必要があり、集団授業塾より料金が割高になりがち。eラーニングを導入することで人件費を抑え、低料金を実現した。例えば中3のコースは週3日各2時間で月1万8千円。一般的な個別指導塾の料金の3分の1程度だ。

 さらに、ひとり親家庭に支給される児童扶養手当を全額支給されている家庭には70%、一部支給は50%を奨学金として免除する。「生まれ育った環境で子どもたちの未来が決まらない社会を」。草場さんの理念に賛同する人に月額500円から寄付を募り、授業料免除を実現している。これまで76人から約90万円の寄付金が寄せられた。

 なぜ経済的に厳しいひとり親家庭の学習支援に取り組むのか。草場さんは高校生のとき、両親が離婚した。複数の奨学金を借りて大学に進学し、経済学を学んだ。「母子家庭になってから大学受験まで期間が短かったので、何とか進学できた。離婚が小さいときだったら苦しい生活の中で諦めていたかも…」

 20年間、東京でベンチャー企業を支援する投資会社で働いたが、11年の東日本大震災を機に生きることについてあらためて考えた。「やりたいことをやらないと意味がない。僕は投資のノウハウがある。これからは集めたお金で社会的な投資をしたい」。それが、ひとり親の子どもたちを支えることだった。


=2015/06/09付 西日本新聞朝刊=

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