<5>宇宙の究極の問い【銀河ヒッチハイク・ガイド】

西日本新聞

 人はなぜ生きているのか? 宇宙はなぜ存在するのか? そういうことをしじゅう考えてる子供はSFにハマりがちですが、この究極の問いに驚くほど明快な答えを出したSFが存在する。バカSFの歴史に燦然(さんぜん)と光り輝く大傑作、ダグラス・アダムス『銀河ヒッチハイク・ガイド』である。ウソだと思う人は、「生命、宇宙、そして万物についての答え」をGoogleで検索してみてください。たちどころにその「答え」が表示されるはずだ(めんどくさがり屋のためにこっそり教えると、答えは「42」です)。

 作中に出てくる超ウルトラスーパーコンピュータが750万年かけて計算したこの「答え」は、20世紀最高のジョークとして、いまもたえず引用・言及されている。

 本書はもともと、1978年に放送が始まった英BBCのラジオドラマ。企画・脚本のアダムスが小遣い稼ぎに自分で小説化し、翌年出版したところ、予想外の大ヒットとなり、シリーズ化。いまや35カ国語に翻訳され、5作合計で1600万部以上を売ったとか。

 物語は、銀河ハイウェイの建設工事にともない、地球があっけなく取り壊されるところから始まる。冴(さ)えない英国人アーサーは、友人のフォード(実はベテルギウス人)ともども、ヴォゴン土木建設船団の宇宙船にヒッチハイクし、銀河を放浪することに。旅のお供は、あらゆる情報が載っている驚異のベストセラー『銀河ヒッチハイク・ガイド』。やがて、銀河帝国大統領や根暗なロボットも登場、行き当たりばったりの珍道中がはじまる。SF史上、まちがいなくもっとも笑える小説です。

 シリーズ最初の3冊は80年代前半に新潮文庫から邦訳されたが(3冊目の『宇宙クリケット大戦争』は、社員編集者だった不肖・大森が編集を担当しました)、2005年の映画化を機に、河出文庫から安原和見の新訳で全5冊が刊行。アダムスが01年に49歳で急逝したためにオーエン・コルファーが書き継いだ最終巻『新 銀河ヒッチハイク・ガイド』も翻訳が出てます。
(書評家、翻訳家)

=2015/06/10付 西日本新聞朝刊=

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