葛藤の現場から~「知日派」はいま 有識者(下)国でなく、市民のため

西日本新聞

世宗大の朴裕河教授。著書「帝国の慰安婦」など日本語版の出版も多い 拡大

世宗大の朴裕河教授。著書「帝国の慰安婦」など日本語版の出版も多い

 反発の強さは著者の想像を超えていた。世宗大の朴裕河(パク・ユハ)教授(58)はこの1年、自身の著書をめぐり激しい非難にさらされた。韓国で最も孤独な「知日派」である。

 著書とは2年前に出版された「帝国の慰安婦」。日韓対立が深まる慰安婦問題を帝国主義的な発想がもたらした「男性と国家による女性搾取」という視点でとらえ直し、和解の手がかりを探った労作だ。

 朴教授は元慰安婦の多様な「記憶」に光を当てた。慰安婦が日本兵と恋仲になったり、戦死者を慰霊したりしたことも書いた。政治的思惑を含んだ「性奴隷」「売春婦」という両極端の慰安婦像を壊すためだった。

 波紋が広がった。「元慰安婦を日本軍の協力者だと言うのか」。昨年6月、一部の元慰安婦と支援団体が猛抗議した。出版差し止めを求める仮処分を申請し、名誉毀損(きそん)容疑で朴教授を告訴した。

 「売国奴」「日本人になれ」。ネット世論も非難の言葉を浴びせた。恐怖心に襲われた朴教授は、帽子を目深にかぶって外出する日が続いたという。 

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