「できている」66%、若者の無関心に危機感 被爆者団体アンケート

西日本新聞

 被爆者の唯一の全国組織日本原水爆被害者団体協議会(被団協)を構成する九州各県内の団体に実施した西日本新聞社のアンケートからは、被爆者の体験が次世代に引き継がれていると思うという回答が全体の6割を超す一方で、若い世代の無関心に悩む被爆者の姿が浮かび上がった。また、核兵器廃絶の実現については悲観的な意見が目立ち、厳しい現実への認識が示された。アンケートは団体の活動状況に合わせて、回答者の個人的意見も記入してもらう形式で実施、項目ごとに回答があった分を集計した。

 被爆2世に期待

 「被爆体験と平和への思いは次世代に継承されていると思うか」との質問には、66%が「思う」と回答。

 その理由としては、被爆2世の存在が挙げられた。九州では宮崎県を除いて被爆2世の会ができ、近年はそれらが連携して活動している。こうした動きへの評価が高かった。

 ただ、継承されていると思う回答の中には、「被爆地以外の地域ではまだまだだ」(福岡県内の団体)と地域的な温度差を指摘する意見や、「体験談の生々しさが年々消え、人ごとのように聞こえているのではないか」(大分県内の団体)と伝わる内容の希薄化を懸念する声もあった。

 継承されていると「思わない」という回答の理由としては、若い世代の無関心さを挙げる人が多い一方で、「私たちのこれまでの努力が足りなかった」(熊本県内の団体)と自省を込めた意見もあった。

 被爆者は高齢化が進んでおり、将来的には、被爆者なき後の体験継承が課題となる。「原爆の被害を直接知る人がいなくなった後も、原爆の脅威は次世代に引き継がれていくと思うか」との質問には、71・4%が「思う」と肯定的だった。

 被爆2世や平和活動に関心を持つ若い世代の存在を理由に挙げる人が多かったほか、「資料がある限り引き継がれる」(熊本県内の団体)「新聞などメディアが発信してくれる」(福岡県内の団体)など、活字や映像の役割に期待する意見があった。

 一方で否定する回答者の中には、「実際に原爆の惨禍を体験した人にしか分からない」という思いがある。「引き継がれると思いたい気持ちはあるが、2世や3世でどこまで訴えられるか」(長崎県内の団体)などという懸念が述べられていた。

 核廃絶に悲観的

 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA)によると、核拡散防止条約(NPT)で核保有が認められている米ロ英仏中の5カ国と、NPT未加盟のインド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮を加えた計9カ国で、計約1万5700発の核兵器が存在する。核兵器廃絶についても質問した。

 戦後70年を経ても核兵器がなくならないのはなぜか-。その理由を3択で尋ねると、「被爆国の日本政府の取り組みが十分でない」(40・7%)▽「他国からの攻撃の抑止力として効果があるから」(37・3%)▽「核兵器の脅威が世界に伝わっていない」(22%)-の順だった。

 また、「廃絶は可能か」との問いには、64・2%が「思わない」と回答。日本が米国の核の傘に入っていることを理由に挙げる人が多かった。「保有国は数は減らせても廃絶までは考えていない」(福岡県内の団体)「核保有国同士が対立している以上は難しい」(同)と、核軍縮が停滞する国際情勢を凝視している冷静な回答が目立った。

 「70年近く訴えてきたが何も変わらない」(佐賀県内の団体)と、悲観的な回答がある一方で、「時間がかかっても地道に核の脅威を訴えていくことが大事だ」(福岡県内の団体)と核兵器廃絶の実現に変わらぬ熱意を示す意見もあった。

=2015/08/05付 西日本新聞朝刊=

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