シリア内戦のドキュメンタリー 戦争、平和考える機会に 上映に奔走 アーヤ藍さん ネット募金で資金集め

西日本新聞

シリアで出会った友人たちとアーヤ藍さん(右)=2011年3月 拡大

シリアで出会った友人たちとアーヤ藍さん(右)=2011年3月

 福岡市・中洲の中洲大洋で公開中の映画「それでも僕は帰る~シリア 若者たちが求め続けたふるさと~」。この映画を日本で上映するために奔走した女性がいる。映画配給会社「ユナイテッドピープル」(同市)の宣伝担当、アーヤ藍さん(25)。シリアへの思い、映画で伝えたいメッセージについて聞いた。

 映画は、内戦や紛争が続く中東シリアで、民主化のために立ち上がり、反政府運動を続ける若者たちを追ったドキュメンタリーだ。

 アーヤさんは2001年に米国で起きた同時多発テロをきっかけにイスラム社会に関心を持ち、大学でアラビア語を勉強。内戦状態となる直前の11年3月、語学研修先としてシリアに約1カ月滞在した。人懐こい友人たちや歴史の詰まった街並みに魅了され、再訪を誓って帰国したが、まもなく、シリアの状況は悪化した。

 インターネット関連会社で営業の仕事をしていたが、「シリアのために何ができるだろう」と考え続け、今の会社に転職した。今年2月、配給候補作品としてこの映画に出合った。

 スクリーンには、4年前に滞在したときとはまるで違う光景が広がっていた。戦争や紛争がもたらす怒り、悲しみ、戸惑いの連鎖。至近距離から撮影した映像は緊迫感があり、命懸けでこの映画を世界に発信しようという思いがひしひしと伝わってきた。

 「この映画を必ず日本で上映する」。決意を固くしたアーヤさんは、必要な資金を集めるため、インターネットの募金「クラウドファンディング」で協力を呼び掛け、シリア関連のイベントにも積極的に参加した。アーヤさんの思いに共感する声は広がり、クラウドファンディングには271人が参加。目標額の180万円を上回る212万円が集まり、全国7カ所で公開が決まった。
 映画の中で、シリアの若者は歌う。

 世界中の兄弟たちよ。

 俺たちはここで あなたたちを待っているんだ。

 この叫びを 無視するというのか?

 無関心な自分に 胸を張れるのか?

 アーヤさんがシリアの変化を見て強く感じるのは、「穏やかな日常も簡単に壊れうる」ということ。「戦後70年を迎えた日本の平和も、いつまでも当たり前に続くわけではない。彼らの訴えにどう応えるべきか。私も悩み続けているが、多くの人が、戦争や平和をリアルな問題として考える機会になってほしい」

 アーヤは、アラビア語で「神のしるし、奇跡」という意味。シリアで語学の先生に名付けてもらい、帰国後も大切にしている。

 上映は21日までの予定。中洲大洋=092(291)4058。


=2015/08/08付 西日本新聞朝刊=

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