治療の質向上さらに 来春に新病院 九州がんセンター 藤 也寸志院長に聞く

西日本新聞

 がん専門診療施設としては九州で最大級の国立病院機構九州がんセンター(福岡市南区、411床)。その8代目院長に藤也寸志(とうやすし)さん(57)が7月1日就任した。抱負などを聞いた。

 -まず手掛けることは。

 「センターは1972年の開設で建物が老朽化しているため、新病院を同じ敷地内で建設中です。来春にオープン予定で、それに合わせて、入院患者さんを含めた引っ越しを安全にやり遂げなければなりません」

 「新病院になるのを機に医療の質も上げていきたい。残念ながら私たちの医療は完璧ではありません。初代院長の言葉『病む人の気持ちを』はセンターの基本理念に盛り込まれていますが、気持ちを考えていないと指摘されることもたまにあるし、疾患によっては治療後の『5年生存率』もまだまだ高いとはいえないからです。約800人のスタッフ全員で質の向上に励み、日本を代表するがんセンターを目指します」

 -新病院の内容は。

 「病棟の病室や廊下など、患者さんのスペースは今よりもゆったりとなります。患者さん同士が語り合えるサロンや図書コーナーも設け、コンビニやコーヒー店も入れる予定です」

 -センターの役割をどう考えているか。

 「今まで同様、急性期(症状が激しい時期)の患者さんに手術など高度な治療を提供するのが役割です。とりわけ、膵臓(すいぞう)がんや食道がんなど難治性がんを治すことが最大の使命と考えています。ただ、積極的ながん治療が終わって終末期となった患者さんについては、これまでは別の医療機関に引き継ぐ傾向が強かったですが、それでいいのかという問題意識が私にはあります。終末期をセンターで過ごしたいという希望が患者さんにあれば、できるだけ応えるようにしたい。それはスタッフにもプラス。患者さんに最期まで寄り添うことで、抗がん剤の使い方など自分たちがやった治療の良さや課題に気がつくことがあるからです」

 -院長になって心がけていることは。

 「体調管理をしっかり考えるようになりました。体が不調だと院長として正しい判断ができなくなると思うからです。朝は6時半に出勤し、夜9時、10時まで仕事するのが普通でしたが今は早く帰ることを意識しています。それでも夜7時ごろに職場を後にすると後ろめたい気持ちになってしまう。長時間労働の世界で育ってきましたから」

 ▼とう・やすし 九州大医学部卒。外科医。1997年から九州がんセンターに勤務し、統括診療部長、副院長などを経て現職。


=2015/08/21付 西日本新聞朝刊=

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