『満州まぼろし』  西原そめ子 著  (2160円)

西日本新聞

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『満州まぼろし』西原そめ子著(2160円)

 戦時中、6歳から9歳まで満州で過ごした少女の暮らしと体験を通して戦争の実態をつづった。

 昭和17年秋、筆者は家族と旧満州奉天市(現・中国瀋陽市)に渡った。当初はスケートを楽しむなど、のんびりした雰囲気だったが、終戦直前から様相が一変。旧ソ連軍の侵攻で自殺を図った近所の親子、小学校の校庭に折り重なる死体…。時間を追うごとに状況が緊迫し悪化していく。混乱の中で博多港へ引き揚げるまでの苦難。少女の胸に焼き付いた記憶を平易な文章で伝えている。

 著者は戦後2度にわたり旧満州を再訪。当時を振り返った検証も盛り込んだ。今年、80歳を前にした筆者は自身の体験を後世に残したいと筆を執った。「戦時中の暮らしを丁寧に追うことで、一般庶民が目の当たりにした戦争の実態を知ってほしい」と語る。


=2015/09/06付 西日本新聞朝刊=

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