子どもに居場所を 善意の食堂、九州にも広がる

西日本新聞

子どもが集う「くるめこども食堂」。食後はお絵描きなどして過ごす=10月25日、福岡県久留米市 拡大

子どもが集う「くるめこども食堂」。食後はお絵描きなどして過ごす=10月25日、福岡県久留米市

 経済的貧困や親のネグレクト(育児放棄)など、さまざまな事情で十分な食事を取れない子どもたちのための「子ども食堂」が、九州でも広がっている。ひとり親世帯の3割が経済的理由で食料を買えなかった経験がある、との調査結果もある。気軽に立ち寄って、悩みを相談できる居場所づくりを兼ねている場所も多い。だが、運営は自費や寄付で賄うところが大半だ。善意が、子どもたちの空腹を満たしている。

 「おかわり」「僕も」。ちゃぶ台を囲んだ子どもたちが元気な声を上げる。10月25日、福岡県久留米市の「くるめこども食堂」。商店街のイベントスペースで8月に開設され、毎月最終日曜日にカレーライスを提供している。子どもの負担は300円だが、絵を描いたら100円引きで、おかわり自由。この日は約40人に100皿を提供した。4皿平らげた母子家庭の子どももいた。

 運営する河野大助さん(38)は子どもたちにあえて事情は聞かない。「自分が子どものころは近所のおっちゃん、おばちゃんが何も聞かずに世話を焼いてくれた。そんな大人が必要」と思うからだ。

 子ども食堂は2012年8月に東京都大田区の青果店が始めた取り組みで、全国に広がっている。河野さんは今年7月、ニュースで取り組みを知り、電気やガスも止められ、満足な食事にありつけなかった自分の少年時代を思い返した。

 「同じようにおなかをすかせた子は今も大勢いる。見過ごせない」。支援者などから野菜の提供を受け、足りない分は自費で運営を続けている。

 国立社会保障・人口問題研究所の12年7月の調査によると、子どもを抱え、過去1年間に経済的な理由で食料が買えなかった経験のある世帯は、ひとり親世帯で32%、両親がそろう世帯でも16%に上る。福岡県の教育関係者は「給食頼りの小中学生で、夏休み明けにげっそりとやせてくる子もいる」と明かす。

  ◇  ◇  ◇

 長崎市の中心街近くのうどん屋を改装した「夢cafe…ひまわり」。昨年11月から、毎週木曜日の午後6時半~9時にカレーを無料提供している。「今日初めてのごはん」とうれしそうに食べる子どももいる。今月5日夕、記者が足を運ぶと、女の子3人が黙々とカレーを食べていた。

 自費で運営している川井健蔵さん(68)は、子どもから相談を受け、学習会も開いている。「問題山積の子どもにも夢や目標を持ってほしい。必要な支援へと、子どもをつなげる場を目指したい」

 福岡市博多区の板付北公民館では、食育活動などに携わる人たちが今月28日から、毎月第4土曜日に昼食を出す準備を進める。子どもが持ち寄る200円と公の基金を活用するという。

 若者の貧困や孤立問題に取り組んできた、福岡市の一般社団法人「ストリート・プロジェクト」も昨年4月から、JR博多駅前のマンションで15~25歳を対象に無料で食事を提供。支援者が寄付した食料を利用したり、古本の売却益を活用したりして賄い、これまでに31人が利用した。

 坪井恵子理事長(55)は「ここに来る子たちは虐待など重い課題を抱えているが、まずはおなかを満たしてほっとしてもらわないと本音も聞き出せない。『ご飯を与えれば解決』ではなく、長い目で多方面から支援していきたい」と語った。

=2015/11/07付 西日本新聞朝刊=

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