【そもそも講座】空き家処分どうする 市町村の窓口に相談を 後見人や管理人活用も

西日本新聞

 ●空き家処分どうする 
 誰も住んでいない空き家が全国に約820万戸あります。倒壊の恐れや悪臭を放つなど周辺環境に悪い影響を与えるため、「空き家対策特別措置法」が5月に全面施行されました。空き家がある地元市町村に、老朽化の程度を立ち入り調査したり、強制的に取り壊したりできる強い権限が与えられました。とはいえ、解体費が工面できないなど難しい事態も想定されます。処分に困った実家などの空き家に、どう対処すればよいでしょうか。福岡県司法書士会空き家・空き地等対策部会副部会長の梅原健さん(33)=福岡市=に聞きました。

 ●市町村の窓口に相談を 後見人や管理人活用も

  特措法の特徴は?

  地元市町村から対策が必要と判断された空き家は「特定空き家」として扱われ、持ち主は取り壊しや建物の補修などを指導・助言、勧告、命令されます。従わないと最終的に強制的に解体され、その費用も請求されます。

  好きで放置しているのでなく、解体できない理由もあるのでは?

  空き家になっても建物を売却したり、更地にして土地を売ったりできれば話は簡単です。問題なのは、売却したくても買い手がつかない場合です。建物だけ解体して土地をそのまま所有していると、固定資産税が最大6倍に跳ね上がってしまうことがネックになり、空き家が放置される一因になっています。

 ただ、市町村も直ちに解体を要求してくるわけではありません。特措法でも個別事情をヒアリングしながら援助するよう求められており、市町村によっては解体費を助成したり、新たな居住者をあっせんしたりします。まずは、空き家がある地元市町村の相談窓口で解決策を探すのが基本になります。

  例えば、田舎で1人暮らしだった母親が認知症になって施設に入所。その実家が特定空き家に認定されるようなケースはどうすればいいのでしょうか。

  事有るごとに帰省しながら、実家がある地元の市町村と交渉するのは大変ですね。第三者が本人に代わって財産管理や法律行為を行う「成年後見制度」を利用するのを勧めます。この場合、家庭裁判所から選ばれる司法書士や弁護士らの後見人が母親に代わって空き家をどう管理していくかを市町村と協議します。場合によっては家庭裁判所の許可を得て、解体や売却もできます。

  親が亡くなって、実家が特定空き家に認定されている場合は?

  実家を相続した子どもや親戚などの相続人が、対処していく当事者になります。特定空き家から解除される改修をして所有し続けるか、売却先を見つけるかなど、さまざまな選択肢が考えられます。

  買い手が見つかりそうにないので、相続人全員が相続放棄してしまえばどうすればよいのでしょうか

  家裁に申し立て、相続財産管理人を選任することが考えられます。司法書士や弁護士らの相続財産管理人が家裁の許可を得て、空き家の売却先を探し、売れればその現金を国庫に帰属させることで処分は完了します。売却先が見つからない場合は、市町村が仲介しながら移住者向け住宅や公共的な施設へ改修する方法もあります。実家が空き家になる前から、親や家族と将来どうするのか話し合い、地元市町村や専門家に相談することをお勧めします。

 福岡県司法書士会空き家・空き地等対策部会=092(722)4131。


=2015/11/14付 西日本新聞朝刊=

PR

PR

注目のテーマ