教員だけの対応に限界 スクールソーシャルワーカー育成を

西日本新聞

 教育と福祉をつなぐ専門職スクールソーシャルワーカー(SSW)の需要が高まっているのは、貧困や不登校、保護者の精神疾患など、教員だけでは対応が難しい問題が学校現場で増えているためだ。

 福岡県スクールソーシャルワーカー協会が対応実績をまとめて昨年刊行した「SSW実践事例集」には、多岐にわたる支援事例が紹介されている。

 ネグレクト(育児放棄)で頭にシラミが大量発生し、同じ洋服でしか登校できないため、学校に行くのを渋る小学生▽貧困家庭で将来の目標が持てず、不登校の中学生▽誰とも接触を拒むひきこもりの中学生-などだ。

 SSWは、授業中の校内巡回、気になる子どもの家庭訪問、不登校の子どもの学習支援などで、児童生徒に寄り添う。保護者に対しても、生活保護の受給申請援助、ハローワークと連携した就労支援、保健師や社会福祉協議会につないで医療機関受診や日常生活自立支援事業の利用を後押しするなど、さまざまな福祉サービスに結びつける。

 学校と児童相談所や行政機関、警察との連絡・調整役も担い、問題を抱えた子どもの支援策について、学校や教育委員会、自治体の生活保護課のケースワーカーらに参加を呼び掛けて会議を開くこともある。

 日本学校ソーシャルワーク学会前代表理事の門田光司久留米大教授は、SSWの配置が進まない理由の一つを「都道府県、政令市、中核市がSSWを配置する際、国の補助は人件費の3分の1だけ。(県の派遣対象外となった)一般市町村にいたっては全額自主財源で捻出せざるを得ないことが、配置増加への大きな壁になっている」と指摘。補助率アップを国に求める。

 また、SSWには中学校区ごとの配置と、相談があったときに教育委員会が派遣する2種類があり、「配置型なら普段から子どもたちの身近で目配りができるが、派遣型は問題が起きてからの対応にならざるを得ず、不十分だ」と話す。

 社会福祉士などの資格を持つ人材が不足し、退職教諭などをSSWとして採用する自治体もあるが、「学校での経験があったとしても、福祉の専門知識がなければ十分な役割を果たしにくい。国を挙げて、SSWの人材育成に取り組むべきだ」と強調した。

=2015/11/29付 西日本新聞朝刊=

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