スクールソーシャルワーカー足りない 九州7県、配置進まず

西日本新聞

 子どもの貧困対策として文部科学省が、教育と福祉のパイプ役を担う「スクールソーシャルワーカー」(SSW)を2015年度中に14年度(1466人)の約1・5倍、19年度末までに約7倍に増やす計画を打ち出したが、九州では長崎を除く6県でほぼ横ばいにとどまっていることが西日本新聞の取材で分かった。人材と予算の不足が背景にあるが、対応件数は増加傾向で、7県で年間8千件を超えるなどニーズは高い。実態に即した計画の見直しが迫られている。

 文科省は昨年度、福祉の専門家として子どもの生活環境の改善を図るSSWの配置拡充を打ち出し、全国で1466人から2247人に増やすため15年度予算に6億5千万円を計上。16年度予算案の概算要求では3047人に増員するため約10億円を盛り込んだ。19年度までに、全国すべての中学校区(約1万人)に配置する目標を掲げる。

 しかし、本紙が九州7県と県庁所在地の市、政令市などの教育委員会に14年度と15年度の配置数(把握分)を問い合わせたところ、14年に重大な少年事件があった長崎県内の配置数が19人から39人へと倍増した以外は、ほぼ横ばいだった。

 国の制度とは別に市町村が自費で配置するケースもあるため、全自治体の配置数は網羅できていないが、7県合計で14年度の212人が15年度は242人と、1・1倍にとどまった。

 大分県では、14年度の県教委配置分のSSW1人が「有資格者が見つからなかった」として15年度はゼロに。鹿児島市も「需要はあるが対象者が見つからない」として、昨年度と同じ4人のままだった。各県の自治体の担当者からは「国は配置拡充の号令をかけるが、人材不足の上に自治体負担分の予算も限られており、増やしたくても増やせない」(福岡県内のある自治体)との声が相次いだ。

 一方、SSWの対応件数は増加が続く。把握できた分だけで、14年度は九州7県で計8360件に上り、内訳は(1)貧困など家庭環境の問題2569件(30・7%)(2)不登校2162件(25・9%)(3)発達障害1129(13・5%)-の順だった。宮崎県の担当者は「対応件数は年々増えており、SSW1人当たりの負担が重くなっている」と話した。

スクールソーシャルワーカー

 学校や教育事務所を拠点に、児童相談所や医療機関、行政機関と連携して貧困や不登校、いじめ、虐待など子どもを取り巻く問題を解決に導く福祉専門職。文部科学省が2008年度から活用事業を導入。都道府県、政令市、中核市を対象に人件費の3分の1を補助している。一般市町村は県から派遣・配置を受けるが、数は限られており、独自予算で採用する市町村もある。採用基準について文科省は「教育と福祉の両面で専門的な知識・技術があり、活動実績がある者」としており、基準は自治体で異なる。社会福祉士や精神保健福祉士が中心だが、校長や福祉施設職員などの経験者を任命するところもある。

=2015/11/29付 西日本新聞朝刊=

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