【食の力】みそ汁を味わう<3>腸内環境改善に一助

西日本新聞

 テーブルに並ぶのはナスのごまみそ炒め、カブの酢の物、切り干し大根のサラダ…。学生たちが1品ずつ持ち寄ったおかずだ。毎週水曜の正午から九州大(福岡市)のドミトリー(相部屋の寮)にある多目的室で開かれる「弁当の日」。この日は選択科目「自炊塾」の学生を中心に十数人が集まった。

 ホウレンソウの梅あえを持参した女子学生(18)は前期の受講生だった。「だいぶ調子がいいみたいですね」。指導教官の比良松道一准教授が語り掛ける。悩んでいたアレルギー性皮膚炎の症状は、見た目にほとんど分からないほど治まっていた。

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 女子学生は、自炊のこつを知りたくて自炊塾を受講した。宿題のみそ汁作りを始めて自然と和食中心のメニューに変わった。みそ汁は週3回、夕食と翌朝の分を一緒に作る。まず便通が良くなってきたのを自覚した。

 以前は、アレルギー体質のため肌はボロボロだった。体温を上げて免疫力を上げたい、肌をきれいにしたいと悩んでいた。

 ある日、こうじをテーマにした授業があった。外部講師のこうじ料理研究家、橋本恵子さん(46)は塩こうじと甘酒の作り方を教え「免疫細胞の約70%が存在するという腸の環境が整えば免疫力が上がる」と伝えた。

 女子学生は「とても衝撃だった」という授業の感想をこう記した。「こうじは肉を軟らかくしたり、食材を長持ちさせたり、おいしくしたり、たくさんの働きをしてくれて素晴らしい。こうじ、塩こうじ、甘酒を使った料理をたくさん作っていきたいです。私はアレルギーもあるし、体温も35度台なので、今日の講義は私の悩みにぴったりでした♪ こうじ料理に期待したいです♪」

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 みそをはじめ発酵食品に欠かせないこうじ。日本人が昔から大切に受け継いできた。腸内環境は健康にとって重要として近年、注目されている。その腸内環境に、みそ汁はどう影響するのか。比良松准教授は2013年度の自炊塾の受講生を対象に腸年齢の変化を調査した。

 受講生には、無添加などできるだけ良いみそ、天然だし、旬の食材を使ったみそ汁を3週間、毎日取るように心掛けてもらい、その前後に腸年齢をチェックした。問診表は、色や形、頻度など便に関する8項目のほか、発酵食品を食べるかといった食生活についての質問など計18項目に回答し、腸年齢を推測する。順天堂大医学部の小林弘幸教授のチェック方式を参考にした。

 それによると、受講生29人の腸年齢は平均4・7歳若くなった。約72%に当たる21人が改善し、うち17歳を最高に、5人が10歳以上若くなった。

 女子学生は7月ごろ、肌の乾燥が和らぎ、赤みも取れてきたのが分かった。こうじの授業の4日後、インターネットの交流サイトにこう記した。「塩こうじを作りました♪ 手にひび割れがあったので混ぜるとき痛かったけど、塩こうじを作り終わると手がすべすべになっていたのでうれしいです♪」

 日常にこうじを取り入れようと甘酒も作る。飲み始めて1週間ほどで効果を実感した。現在、平熱は36度台、症状も落ち着いている。

 みそ汁作りはもちろん継続中。先日はシメジ、カボチャ、タマネギ、体を温めたくてショウガも入れてみた。

 自炊している他の学生を見ると自分も頑張れる。だから「弁当の日」に、また参加しようと思う。

 ▼みそ汁と新聞カフェ 「朝の習慣」再構築キャンペーンの一環。7~25日の平日(14日を除く)午前7~8時半、福岡市・天神のエルガーラビル1階に開設します。日替わりみそ汁とおにぎり、朝刊1部のセットを500円(税込み)で販売。持ち帰りも可。問い合わせは本社販売局企画開発部=092(711)5430。


=2015/12/03付 西日本新聞朝刊=

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