【食の力】みそ汁を味わう<4>だし、具材 工夫で簡単

西日本新聞

 学生が食事でみそ汁を取る「みそ汁率」は13%-。「10回の食事のうち、ほぼ1回しか食べないということ。大いに問題ですね」。九州大(福岡市)の選択科目「自炊塾」を指導しながら自炊とみそ汁の大切さを教えている比良松道一准教授(農学)は嘆いた。

 調査は2013年度前期の受講生30人を対象に、2回目の講義から7~9日間の食事について聞いた。24人が1人暮らし、残り6人は実家通いだった。

 1人暮らしのみそ汁率11%に対して、実家通いは21%。3人に1人は全く食べていなかった。自炊はしてもご飯とおかずだけというパターンが多く、丼物、焼きめし、パスタなど一品料理も目立つ。

 1人暮らしの自炊率は58%。その他はコンビニ率5%、学食率8%、学食を除いた外食率14%だった。

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 「僕のみそ汁率は80%ぐらい」。受講生の工学部1年、松浦浩巳さん(19)は自己分析した。

 松浦さんが受講を思い立ったのは、入学後の不摂生がきっかけだった。昼食は学食だったが、午後10時までの部活など忙しさにかまけて晩ご飯は毎晩、大好物のマシュマロで済ませた。ヨーグルト味、チョコレート味などと変えれば飽きない。約1カ月半後、体中にじんましんが出た。1週間ほど症状は続き、飲用薬のため眠気に襲われ、授業も受けられない。「一体何が体に起きたのか」と不安に襲われ、食の大切さを思い知らされた。

 みそ汁作りの宿題が出た後は、自炊のときはみそ汁をほぼ付けるようになった。冷蔵庫の余った野菜を切り、チャック付きポリ袋に入れて冷凍しておく。だしの授業まで、だしを取ったことはなかったし「手間がかかっていやだなあ」と思っていた。授業で習ったのは水差しに昆布、いりこそれぞれを入れて冷蔵庫に1晩入れておくだけの水出し。簡単さに驚いた。

 現在は、3日分ほどをまとめて水出ししてポットに入れている。必要な分だけ温めて、具材とかつお節、みそを入れたおわんに注いで食べる。手間も掛からない。それでいて「炊きたてのご飯と、自分で取っただし入りの温かいみそ汁は、腹に染みるなあって感じです」。

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 「みそ汁には豚肉とニンジンと玉ネギを入れて豚汁風にした。だしはいりこ。なかなか味は出ない。奥が深いです」。みそ汁作りの宿題が出た日の夜、農学部1年の畑中孝太さん(19)はインターネットの交流サイトに、そう記した。

 畑中さんは入学後に自炊を始め、多彩なメニューに挑んでいる。揚げだし豆腐、ピーマンの肉詰め、ブロック肉を材料にした焼き豚などのほか、「衝動買いした」サツマイモのクリームを作るなどレパートリーは幅広い。みそ汁は「ワカメが切れてしまい、シメジを入れただけ。大きめのいりこをだし兼具材として使った」こともある。お気に入りの具材は「安くて煮るとおいしい」大根とカブという。

 冷蔵庫の豆腐を腐らせたことがある経済学部1年、萩原孝さん(19)も試行錯誤を重ねる。「みそ汁にはサツマイモを入れて、秋らしさをプラスできた。(器が)コップなのは気にしないでください(汗)」「キャベツ、玉ネギ、豆腐、サツマイモ、油揚げと具材をてんこ盛りにし過ぎた気がします」。書き込みには楽しんでいる様子がにじむ。

 寒さも深まりつつある。だしと具材と工夫で滋養の溶け込んだみそ汁が、学生の心と体を温める。

 ▼みそ汁と新聞カフェ 「朝の習慣」再構築キャンペーンの一環。7~25日の平日(14日を除く)午前7~8時半、福岡市・天神のエルガーラビル1階に開設します。日替わりみそ汁とおにぎり、朝刊1部のセットを500円(税込み)で販売。持ち帰りも可。問い合わせは本社販売局企画開発部=092(711)5430。


=2015/12/04付 西日本新聞朝刊=

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