貧困連鎖、奪われる未来 九州深刻、5人に1人

西日本新聞

 厚生労働省の調査では、平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす18歳未満の割合(子どもの貧困率)は2012年で16・3%と6人に1人となり、過去最悪だ。母子家庭を中心に大人1人で子どもを育てる世帯に限れば54・6%に上る。九州はより深刻で、就学援助受給率などから西日本新聞が試算した結果では、ほぼ5人に1人が貧困状態とみられる。

 こうした状況は周囲からは見えにくい。貧困家庭の子どもが必ずしもぼろぼろの服を着ているわけでもない。公立高校の教師は「制服を着ていると同じようにみえるが、授業中、机に突っ伏して空腹に耐えている子もいる」と話す。

 大学や短大への進学率は13年の全世帯の全国平均53・2%に対し、生活保護世帯は19・2%にとどまる。学歴は生涯賃金に大きく影響する。受験競争が過熱し、中学3年生の通塾率が6割を超えるとされる一方、貧困世帯の子どもが十分な教育を受けられず、貧困が次世代に連鎖し、抜け出せなくなる構図がある。

 経済協力開発機構(OECD)の調査では、日本は国内総生産(GDP)に占める教育機関への公的支出の割合が比較可能な32カ国の中で最下位。「子どもの貧困対策推進法」が昨年1月、「生活困窮者自立支援法」が今年4月に施行したが、まだまだ取り組みは不十分だ。

 日本財団が今月公表した推計では、子どもの貧困をこのまま放置した場合、現在15歳の1学年だけでも日本全体の経済的損失は2兆9千億円に上り、政府の財政負担は1兆1千億円増えると警告した。社会的な損失も大きい。

 貧困は子どもから「機会の平等」を奪う。かつて「一億総中流」と言われた社会は、富裕層と貧困層に二極化が進む。戦後70年の、日本の現実だ。

 「困っている子どもを救いたい」と思う人は少なくない。どうすれば子どもたちに必要な支援が行き届くのか。政府の貧困対策の充実など具体的な解決策に結びつくのか。九州の現場を歩き、考えていきたい。

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=2015/12/15付 西日本新聞朝刊=

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