【貧困の現場から】(2) 公園で夜風に凍えた16歳 (3ページ目)

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 中学に上がったころ、父が事故で働けなくなり、里親の元へ。居心地が悪く、中2の時に暴走族に入る。高校受験にも失敗。里親も手を焼き、16歳の春、児童相談所の仲介で再婚していた母に引き取られた。

 初めて暮らした母は豊かな生活ぶりで、広いマンションに高級バッグや時計がたくさんあったのを覚えている。当たり前のように与えられた1日3食と自分の部屋。だが、「勉強して高校に入れ」と繰り返す継父になじめず、2人の義弟妹にも気後れした。わずか1カ月で母の家を出た。

 所持金1万2千円はすぐに底を突く。「初めは友人宅を泊まり歩いたが、すぐに行き場がなくなった」。廃業した観光ホテルに忍び込み、寝泊まりしたこともある。やがてたどり着いたのが公園だった。

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 優はいま、少年の立ち直りを支援する団体の紹介で、契約社員として小さな事業所で働く。朝8時半から夜9時まで働き、給料は手取りで約20万円ある。義兄と2人でアパートも借りた。

 1カ月前、上司から「正社員になるチャンスがある」と告げられた。あの時、先輩から救われ、支援団体とも出合い、どん底から助けてもらえた自分は幸運だと思えるようになった。

 「今まで、その日生きていればいいという気持ちしかなかった。彼女もできて、ちょっとだけど、家族を持つことも考え始めた。子どもには自分のような経験を絶対させたくない。だから、正社員になりたい」

 かつて寝泊まりした公園で優は力を込めた。

 ひとり親家庭と離婚 ひとり親家庭となる原因の8割は離婚。厚生労働省の調査によると、年間の離婚件数は1950年代は7万台で推移していたが、2002年の約29万をピークに、14年も約22万2000と高い水準にある。11年度の調査で、母子家庭は約124万世帯、父子家庭は約22万世帯。一般世帯の男性の平均給与所得(10年)は507万円だが、母子家庭の母親の平均年間就労収入(11年度)は181万円。母子家庭の場合、パートやアルバイトなど非正規の割合は47.4%に上る。父子家庭の父親も360万円にとどまる。

 

 

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=2015/12/16付 西日本新聞朝刊=

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