【生きる 働く 第11部】均等って何? 雇用機会均等法30年<5完>多様な「活躍」認める社会に

西日本新聞

 男女雇用機会均等法の施行(1986年)から30年がたち、誰もが働きやすい社会への途上にある日本。連載最終回は、正社員として働いた経験もある福岡市の主婦5人に語り合ってもらった。私たちが今後目指すべき「均等な働き方」とは、どんな姿なのだろう。

 -皆さんは転勤族の男性と結婚したのを機に仕事を辞めたそうですね。

 Aさん(37歳。子どもは12、10、1歳) 毎晩終電で帰る仕事で、子育てと両立できないだろうと思っていた。男性がキャリアを積みやすい世の中なので、私が専業主婦になった。

 Bさん(44歳。子どもは9歳) 結婚後も2年働いたが、夫と別居だった。夫は今も忙しくて早死にしないか心配。もし単身赴任になったら、倒れても分からないから怖い。

 全員 そうそう。お風呂が長いとのぞいちゃう。

 Cさん(39歳。子どもは12、10、7歳) 辞めたくはなかったが、夫に「子どもが10歳までは家にいてほしい」と言われ、私もその方がいいと思った。

 -仕事を辞めてどんなことを感じましたか。

 Dさん(34歳。子どもは8、5歳) 以前は結婚後も働くつもりだったが、子どもがかわいくて仕方なくて、一緒にいることが一番幸せ。今は預けてまでキャリアを継続することに重きを置いていない。女性も働くべきだとか、家にいるべきだとか凝り固まらず、どっちも求めていいんじゃないかな。

 Aさん 子どもと二人きりで、誰も褒めてくれない、目に見える成果もない。何週間も人とまともに会話せず、もう社会に復帰できない気がした。夫の両親に、「離婚してもいいから働かせて」とお願いして、半年間の仕事をした。ライフステージに応じた働き方を、男女関係なくできればいいのに。

 Eさん(54歳、子どもは26、23歳) 夫は転勤先でもキャリアが続くけど、妻は人間関係も全部ゼロになる。そんな中で子どもの命から将来まで全責任を、夫の分まで背負い込むプレッシャーはすごい。私はPTAや地域の役員をしたことを履歴書に堂々と書く。私たち主婦がその一行を入れることで、プライドを持ってやっていると意思表示するのも大事。働いていて子どもと過ごせなくても、専業主婦でお金を稼いでなくても、罪悪感を持つ必要はない。子どもが大事なのはみんな一緒。

 -誰もが「均等」な働き方ができる社会とは。

 Bさん 家の仕事が好きな男の人もいる。男性、女性じゃなく適正に合わせて働ける社会になるといい。

 Dさん 働きたい人、働かざるを得ない人、働かない選択をした人も、同じく認められる社会。お金を稼ぐだけが仕事ではない。私の母は民生委員で、ほぼ無給で独居老人や非行少年を見守っている。(安倍政権の)「1億総活躍」って、「主婦はテレビを見ながら煎餅をかじっている」と考えている人の発想では。「女性の活躍」も活躍の仕方が限定されている。

 Aさん 子育てだって社会にとってすごく大事。人の役に立つことはどれも仕事であり、そうした全てが均等に評価されるといいな。 =おわり

    ×      ×

 ●メモ=法改正の歩み

 日本政府は女子差別撤廃条約を批准(1985年)し、翌年に均等法を施行した。99年の改正で事業主にセクハラ防止の配慮義務を課す。2007年の再改正では、当初の「女性差別禁止」から、男女に対する「性差別禁止」に切り替え、セクハラ防止措置も義務化。妊娠・出産を理由に職場で不利益な扱いをするマタハラも禁じた。1992年施行の育児休業法は、育児・介護休業法に変わり、99年の改正で介護休業制度の義務化も盛り込んだ。仕事と生活を両立する制度は整いつつあり、どう運用するかが問われている。


=2016/01/09付 西日本新聞朝刊=

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