地方移住 秘けつは「絆」 大分・竹田市 5年で180人 専従市職員が積極支援

西日本新聞

 人口減少をにらみ、移住者誘致に力を入れる自治体が増える中、人口約2万3千人の大分県竹田市は、技能を持つ人材への助成や支援を充実させ、ここ5年で180人の受け入れに成功した。移住希望者の相談窓口に専従する市職員、後藤雅人さん(32)は「もう一つの秘けつは、移住前の関係づくり」と言い切る。観光資源などが少ない地方の小さな自治体が移住者を引きつけるヒントとは-。

 「補助金が移住を後押ししてくれた」。市中心部から車で約5分の会々(あいあい)地区。細い小道の突き当たりにある木造平屋の空き家を改修し、8月末にショールーム兼ギャラリーを開いたニットデザイナーの竹下洋子さん(49)=長崎県雲仙市出身=は振り返る。

 小学6年の長女(12)と一緒に大分県国東市から移り住んだ。利用したのは工芸や陶芸など手に職のある人を対象にした「歴史・文化資源活用型起業支援事業補助金」。上限の100万円に自己資金の100万円を加え、改修費に充てた。

 市はこの補助制度を2010年度に設けた。「田舎は職が少ないので、逆に仕事を持ち込んでもらうという発想」(後藤さん)。これまで11人が利用した。

 移住者への“特典”はこれだけではない。希望者の空き家探しに、後藤さんは毎回付き添う。地元の農家と交渉して「お試し民泊」してもらったり、小学校の運動会に招待したり、子どもがいる同世代の夫婦と食事する機会も設けたり…。「ここで暮らすための不安を残さないように」との思いからだ。

 「既に知り合いが何人もいます。本当に心強い」と笑顔で語るのは、田園風景に魅了され、東京都杉並区から移住を考える会社員小笠原順子さん(34)。4~6日に夫(36)と空き家を探しに来たが、後藤さんと会うのはもう5回目。今回は市内の幼稚園で、長男(4)と長女(2)向けの育児サービスの説明を受けた。「生活のイメージがどんどん膨らみます」

 市は14年度から、将来の移住候補者として国の「地域おこし協力隊」の受け入れも本格化させた。現在30人が後藤さんを補佐しながら、自らの移住を念頭にネットワークづくりに励む。

 25年後に人口が1万人減るとされる竹田市。子育て世代の受け入れには幼・保育園整備など課題も残るが、市農村回帰推進室の志賀郁夫室長は「地域を存続させるため、今後も積極的に受け入れる」と意気込む。

=2015/12/08付 西日本新聞朝刊=

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