議員の育休考える 休業法の対象外 規定なく 「制度整備必要」の声

西日本新聞

 自民党の宮崎謙介衆院議員(35)=京都3区=が、妻の金子恵美衆院議員(37)=自民、新潟4区=の出産に合わせ、「育児休業」取得を検討している。「男性の育休取得に理解が深まる」との期待感がある一方、「欠席期間中、国会に有権者の声を反映できない」などの批判も根強い。少子化を食い止めるため、政府が男性の育休取得を推進する中、国会議員の「育休」はどうあるべきだろうか。

 金子議員は通常国会開会中の2月に出産予定。このため、宮崎議員が昨年末に「1~2カ月程度の育休を取得したい」と表明した。衆院事務局によると、男性議員が育児を理由に一定期間欠席したケースはないという。

 会社員などの被雇用者は、育児・介護休業法に基づき、男女とも育休を取得できる。育休中は雇用保険から賃金の50~67%が育児休業給付金として支給される。

 議員は、経営者や個人事業主と同様に同法の対象外。ただ、国会や地方議会の多くは「公務、疾病、出産、その他の事故などにより欠席する場合は議長に届け出る」という規則があり、女性議員は出産を理由に欠席している。

 これまで国会では衆参で計9人の女性議員が出産のため欠席。最長は小渕優子衆院議員で、計98日間欠席した。欠席中の報酬を減額する仕組みはなく、返納すれば、寄付行為を禁じた公職選挙法に抵触する可能性があるという。民主党の岡田克也代表は「一般の人は育休を取れば給与が削られるが、国会議員は丸々受け取れる。多くの人が違和感を持つのでは」と述べた。

 宮崎議員の事務所には「(有権者の)代弁者として活動できないなら、できる人にいったん譲ったらいかがですか」などの批判の一方、「子どもを育てるのは親として当たり前」というエールも寄せられている。

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 九州の7県と3政令市の議会も、出産は疾病や公務と並び、欠席の理由に明記されているが、育児はない。福岡市議会の担当者は「育児に限らず、家族の介護が必要な議員はどうするのかという問題も出てくる」と頭を悩ませる。

 2005年に出産のため、8日間欠席した三宅まゆみ・北九州市議(52)は自らの経験を振り返る。「出産や子育てに関わってこそ、制度の矛盾や不備も見えてくる。私は子育て支援は自立した納税者を送り出すための経済政策でもあると確信できた」と宮崎議員に理解を示す。ただ「欠席中の報酬をもらっていいのかという葛藤があった。欠席に応じて減額される仕組みなどが必要」と提案する。

 福岡県弁護士会両性の平等委員会の郷田真樹弁護士(44)は「病気などで欠席する議員はいるのに批判されない。育児が、病気ほど『仕方ない』とも、公務と同じ価値があるとも思われていない」と批判の背景を分析。「代理が国会に出席できるようにする制度をつくり、家庭での責任も職責も果たす政治家を国会に多く送り込むことが、子育てや介護をしながら働き続けられる社会につながるのでは」と指摘している。

 ●育児できる社会へ 男女で声を上げて

 ▼NPO法人マタハラNet 小酒部さやか代表理事(38) 男性議員の育休取得の検討は、これまでの議員にない働き方になるので批判は想定できた。しかし、父として育児したいという願いがかなわない世の中では、少子化は止まらない。

 妊娠や出産、育児、介護を理由とした職場での不当な扱いや嫌がらせは、仕事最優先の長時間労働を基準にし、それができない人を排除しようとする社会で起きる。宮崎議員は「永田町の常識」を変えようという、大切で勇気ある問題提起をしたと思う。

 昨年12月の厚生労働省の審議会が、非正規労働者の育休取得要件の緩和や、マタニティーハラスメント(マタハラ)防止策を盛り込んだ報告書をまとめるなど、風が吹いている。男性も女性も育児できる社会を求め、声を上げていくべきだ。


=2016/01/22付 西日本新聞朝刊=

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