カフェイン中毒ご用心 許容量に個人差 少量で異変も

西日本新聞

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神村英利さん

高濃度のカフェインを含むエナジードリンクもある(画像を一部加工しています)

 カフェインの過剰摂取による国内初の死亡例が先月発表され、カフェイン中毒が注目を集めている。しかし体質によって、コーヒー1杯で気分が悪くなるなど、少量で中毒症状を起こす人もいる。福岡大学筑紫病院薬剤部長で、福岡県薬剤師会理事の神村英利さん(55)に注意点を聞いた。

 ■原因不明の不調

 福岡市内の会社に勤める女性(32)は、出張先でいつも頭がクラクラしたり、気分が悪くなったりするのが悩みだった。「病院でも原因が分からず、心理的な“出張恐怖症”なのかとも思っていた」

 数年前、コーヒーを飲んだ直後に具合が悪くなり、初めてカフェインを疑ったという。「出張では取引先を回ってコーヒーやお茶を何杯も飲む。思い返すと高校時代から、ペットボトルの緑茶や、(カフェインを含む)鎮痛薬を飲んだ後にきつくなっていた」。それ以来、カフェインを取らないよう気を付けている。

 ■体調を観察して

 カフェインには眠気や疲労感を抑える作用があり、「エナジードリンク」と呼ばれるカフェイン入り清涼飲料水を好む若者や労働者も多い。だが許容量を超えると集中力低下やどうき、けいれんなどの症状が現れる。死亡した20代男性は、エナジードリンクを長期間、頻繁に飲んでいた。

 食品から摂取するカフェインの許容量は、国内では明確な基準がない。神村さんは「体質や体格によって許容量は異なる。医薬品の場合、成人なら1日300ミリグラムを2、3回に分けて服用する。コーヒー1杯には約100ミリグラム含まれるので、1日3杯くらいが目安だろう」と説明する。

 注意したいのは、カフェインの代謝酵素が少なく、この女性のように少量でも受け付けない人もいることだ。神村さんは「耳鳴りや不安感、そわそわするのも症状の一つ。すぐに摂取をやめ、体調が回復しないときは医療機関を受診して」と呼びかける。ただ、カフェインに弱い体質を調べる検査はなく、体調の変化を観察するしかない。

 また抗うつ薬などの医薬品の中には、カフェインの分解を妨げるものもある。神村さんは「エナジードリンクやカフェイン入りサプリメントは用量を守り、薬との飲み合わせにも注意が必要だ」と話した。

 ■乳糖にも注意を

 カフェインと同じような仕組みで、乳糖が体調不良を招くこともある。

 乳糖は牛乳などに含まれる糖質。菓子をはじめ加工食品に幅広く使われている。乳糖消化酵素(ラクターゼ)が足りない体質の人は、消化不良や下痢を起こす。タンパク質が原因の牛乳アレルギーとは異なる。

 ラクターゼは授乳期以降は減っていくため、年齢とともに牛乳が飲めなくなる人は増える。「牛乳でおなかがゴロゴロするようになったら、乳糖が分解されているヨーグルトなどの発酵食品に切り替えるのがよいだろう」(神村さん)

 このほか、サプリメントなどによる脂溶性ビタミンの大量摂取で頭痛や脱毛、腎障害、貧血などが起きる例もある。原因不明の不調は、サプリメントや食べ物が鍵となっているかもしれない。


=2016/01/23付 西日本新聞朝刊=

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