18歳オトナですか<3>1児の母、でも「まだ子ども」 株で稼いだ大金 手応えなし

西日本新聞

 14歳で出産するという一大決心をして1児の母になったアオイさんが、今の自分を「まだ子ども」と評する。その心は-。

 九州北部の地方都市で暮らす。中学2年だった。相手は同年代。大好きな彼の子どもだから、絶対産みたい。誰にも止められないよう、大きめの服でごまかした。

 妊娠9カ月になって、母に手紙で「ただ太ったわけではないのです」と打ち明けた。両親は驚くより先に、無事に産めるよう、学校へ病院へと動いてくれた。守られている安心感の中、安産だった。

 彼の親には「戸籍に傷がつく」と抗議され、1人で育てると決めた。とはいえ現実は実家暮らし。アルバイトで月8万~9万円稼ぐものの、独立できる額ではない。働く間の子育ては家族が助けてくれる。「誰かに頼られるくらいにならないと」。それまでは「まだ子ども」だと思う。

 春からは福祉系の専門学校に進む。家族に頼れるうちに手に職を付けたい。「きれいごとではお金は入ってこないから」。もう少しだけ甘えさせてほしい。

 1児の母としては安全保障問題が気になる。後方支援でも、最初に派遣される自衛隊員の親はいたたまれないだろう。「おはよう、ただいま、そんな言葉を返してくれる家族がいて、健康なら、幸せです」。そう思える日々が続いてほしい。

    ×      ×

 家族と離れ、初めて家族を思いやる。福岡県内のフリースクールに入寮して3カ月になるナオタカ君。「働いたお金で両親を旅行に連れていきたい。2人とも年なんで」とはにかむ。

 オトナですか?と尋ねると「社会に出て、働いて、稼いだお金で生活できたら」。その定義に照らせば、自分はまだまだだ。ただ、稼いだ経験ならある。それも2年間に300万円以上も。

 中学1年のある朝、突然起きられなくなった。原因は不明。1年半の不登校。高校1年の秋からは本格的に自宅に閉じこもった。

 1人の世界で始めたのが株取引だった。10万円の貯金を元手に、パソコン画面に食い入る。値動きが気になって仕方がない。利益は出たものの、自認する気弱な性格が災いし、精神をすり減らした。

 見かねた親が連れ出し、フリースクールの門をたたいた。当初は半強制的に入寮させたことを憎んだ。それも規則正しい生活とスポーツで流す汗が、少しずつ洗い流してくれた。思い返せば「株は不労所得」。働こう。そのために必要な力を今、培っている。

 株価と一緒に日々のニュースもチェックしてきた。安全保障問題もその一つで「軍事同盟国なのに戦線に行かないのはおかしい」と思う。一方で、仲の良かった知り合いが自衛隊に入った。「彼が行くと思うと…。冷静に考えられません」。友を思いやる。

=2016/01/4付 西日本新聞朝刊=

PR

連載 アクセスランキング

PR

注目のテーマ