鹿屋発 福井逸人副市長に聞く<上>活性化願い真剣ダンス

西日本新聞

 市議会で踊ったり、市内外のイベントで仮装をしたり…。型破りな副市長が、鹿児島県鹿屋市にいる。農林水産省出身の福井逸人さん(43)。市名産の養殖カンパチやバラ、豚肉を市内外に売り込もうと、当人はいたって真剣なのである。地域創生に寄せる思いを取材した。

      *

 「取ったぞー」。昨年7月、福岡市のJR博多駅前に子どもたちの歓声が響いた。広場に仮設プールを持ち込んでのカンパチつかみ取りイベント。福井副市長は、頭がカンパチ、体はスーツで決めた謎のキャラクター「かのやカンパチロウ」と並んでカンパチダンスを踊り鹿屋市をPRした。

 「ダンス音楽の作詞と作曲は、知人の知人のミュージシャン。報酬はカンパチ丸1本のみで。地元の幼稚園のお遊戯会や運動会で踊ってもらうなど、人気はじわじわ広がってます」

 カンパチ、カンパチ、生きがいい。鹿屋のカンパチ、日本一さ~。ダンスの動画はインターネット上で拡散。海外展開も視野に英語版の歌詞も作成した。

 カンパチロウは、地元水産会社の出世社員という設定だ。「“出世魚”の実力は本物です」。昨年9月、衆院鹿児島5区選出の森山裕議員の東京事務所を訪ねると、10日後に森山氏は農水相に就任した。

 PR隊は首都圏にも進出している。東京在住の鹿屋市出身者や鹿児島銀行東京支店の行員がイベントを手伝ってくれた。「鹿屋への愛着を持つファンを市内外に増やしたい。今後、労働提供型のふるさと納税を制度化したい」。単に寄付金を納めるのではなく、地域のため汗を流すことで活性化に貢献できる新たな仕組みを思い描いている。

 養豚農家や地元の「かのやばら園」の支援にも余念がない。鹿屋産の豚バラ肉と市花のバラにちなんだ「豚ばら丼」の売り出しだ。「目的は、異業種連携のきっかけづくり。多くの市民がどんぶりのように一緒になって取り組めれば」。豚ばら丼のキャラクター「ばらブー」の名前は、地元の子どもたちからの公募で決定した。

 実は福井氏と記者は大学時代、首都圏のさまざまな大学に通う地方出身者が寝食を共にする学生寮で同部屋だった。当時から、駄じゃれを連発して周囲を閉口させることもしばしば。今回、取材時に受け取った名刺には「福『丼』逸人」と刷り込まれていた。今やあきれた副市長だが、農水官僚を目指した原点には、地方への熱いまなざしがあった。

 ▼ふくい・はやと 1973年生まれ、三重県伊勢市出身。96年、東京大を卒業し農水省入り。同省旧食糧庁企画課、栃木県経済流通課長、農水省消費・安全局総務課長補佐などを歴任し、2014年7月から現職。冷凍食品大手のニチレイ出向の経験もある。

=2016/02/05付 西日本新聞朝刊=

PR

社会 アクセスランキング

PR

注目のテーマ