『みつえばあちゃんとボク』 岡野雄一 著 (1296円)
認知症介護の様子を、おもしろくも切なく描いた漫画「ペコロスの母に会いに行く」の作者、岡野雄一さんの新刊。前作と同様に温かい人間ドラマに胸をほっこりさせられる。
お父さん(ペコロス)と一緒に、東京から実家の長崎市に引っ越してきた小学生のまーくんと、みつえばあちゃんが織りなす物語。みつえばあちゃんは、まだ“ちょいボケ”の状態で、とぼけた振る舞いは相変わらず。しかし、孫を大切に思う祖母の優しい心に、思わずホロリとさせられる。
2012年4月から14年2月まで、西日本新聞長崎県版と生活面に連載された作品に加筆して修正した。岡野さんの母光江さんは14年8月、91歳で亡くなっており、これは母の存命中の作品だ。岡野さんは「命の交差するかけがえのない時間を、絵本のように描きました」と話している。
=2016/02/07付 西日本新聞朝刊=