<33>4坪店で探し求めた勝負味 すごい煮干ラーメン凪(東京都新宿区)

西日本新聞

「煮干しラーメンと言えば凪と言われるようにブランドを確立したい」と語る生田智志さん 拡大

「煮干しラーメンと言えば凪と言われるようにブランドを確立したい」と語る生田智志さん

東京都新宿区歌舞伎町1の1の10。すごい煮干ラーメン820円。ご飯150円。24時間営業。年中無休。03(3205)1925。

 戦後の闇市に始まり、近年は個性的な飲食店が立ち並ぶ東京・新宿のゴールデン街。その一角で「すごい煮干ラーメン凪(なぎ)」はスタートした。店の扉を開けると煮干しの濃厚な香りが漂う。この店は近年ブームになっている煮干しラーメンの火付け役の一つだ。

 約4坪の狭い店内で創業者の生田智志さん(38)に話を聞くと、紆余(うよ)曲折のラーメン人生があった。

 北九州市出身。高校卒業後、警察官を目指して専門学校に通いながら人気ラーメンチェーン「一蘭」でアルバイトを始めた。働きぶりが評価され22歳で社員になり、警察官の夢は諦める。その2年後には東京・六本木店の立ち上げでエリアマネジャーに抜てきされた。だが、27歳で退職を決意する。「仕事がマンネリに陥って。完成品ではなく、自分で作ったものを食べてもらいたかった」

 2004年9月、ゴールデン街に「ラーメン凪」を開いた。とはいえ友人がやっていたバーの週1回の定休日に間借りする変則営業。ラーメン店2軒でバイトを掛け持ちしながら、自宅でスープを作り、鍋ごと抱えてバスで運んだ。しょうゆ、豚骨など毎週違うラーメンを提供する珍しいスタイルで、いつしか行列ができる人気店になっていた。「その時の1番人気が豚骨だったんです」。豚骨一本に絞り、渋谷に支店を構えたのは06年。煮干しまでたどり着くのはもっと後のことだ。

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 「まずは一杯を」とラーメンをいただいた。1人前で20種類、計60グラムの煮干しを使ったスープをすすると強烈な風味が口に広がった。縮れ麺はもちもちした食感。しょうゆの香ばしさも顔を出すが、その奥にはやはり煮干しのうま味がどっしりと構えている。

 「2年くらい豚骨をやったけど、またマンネリを感じだしたんですよ」と生田さんは続けた。08年、当時は渋谷店をメーンに仕事をしていたが、原点のゴールデン街に戻って新たな味の開発に乗り出した。1人で店に立ち、客を相手に味探し。そして勝負をかけたのが煮干しだった。「青森で食べた煮干しラーメンに衝撃を受けた。九州のうどんにもいりこは入ってますから、違和感はなかったですね」

 以来、改良を重ねた。10年にはキャナルシティ博多(福岡市)のラーメンスタジアムに期間限定で出店したが「当時の味は今とは別物。どんどん煮干しの味を強めていった」と言う。今の味が出来上がったのは3年前。いずれは福岡にも出店する野心を持つ。

 「煮干しは、種類、産地、とれた時季で味が変わる。日本中から取り寄せて、勉強しています」。マンネリには陥っていないようだ。 (小川祥平)

=2016/02/18付 西日本新聞朝刊=

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