【生きる働く】キッズルーム、会議短く残業なし 効率的な仕事 生活と調和 企業も成長 福岡のオフィス

西日本新聞

 社内にキッズルーム、会議は十数分、夜7時には消灯…。ワークライフバランス(仕事と生活の調和)が取れた働き方を追求し、社員がやりがいを持って働くことで、成長を続けている企業があるという。2007年創業の「ボーダレス・ジャパン」(東京)。実質的な本拠地となっている福岡オフィス(福岡市東区)を訪ね、働き方を取材した。

 同社は、社会問題の解決につながる経済活動「ソーシャル・ビジネス」の普及を目指す。現在、アジアやアフリカの貧困農家に安定的な収益をもたらすオーガニックハーブの販売や、バングラデシュに雇用を生み出す革製品の製造販売など、九つの事業を展開している。

 2月上旬の午前9時過ぎ、福岡オフィスを訪れると、創業者で代表取締役を務める田口一成さん(35)を、約15人が囲んでいた。会議が長引かないよう全員立ったまま。一人ずつ「今日は○○に2時間、△△に3時間かけて取り組みます」と具体的な業務目標を発表していく。

 会議はわずか十数分。終わると、それぞれの持ち場に足早に戻る。会議で報告した目標通りに仕事を終わらせるため、デスクの横にストップウオッチを置いて仕事を始める人もいた。

 福岡に常駐する田口さんは「毎日の業務内容を発表することで、社員は自発的に考えるようになり、無駄なく、効率的に仕事に取り組めるようになった」と話す。

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 創業時9人だった社員数は現在、468人。多くは20~30代で、妊婦や子どもがいる人も少なくない。福岡オフィスにはキッズルームがあり、社員の子どもは原則出入り自由。保育園や学校帰りの子どもたちが遊ぶ光景も日常的だ。

 残業はほとんどない。午後7時になると田口さんがオフィスの電気を消し、全員が家路に就くルールが徹底されている。

 2年前に転職してきた女性(33)は「前の会社では終電まで働いたり、徹夜したりすることもあったけど、今は会社帰りにヨガや語学を習っている」。妊娠7カ月の女性(25)は「子育てとの両立がイメージしやすく、出産後も働き続けたい」と意欲的だ。

 田口さん自身も3児の父親で「効率よく成果を出すには、楽しく仕事に取り組める環境が大事。どうしたら社員が楽しく働けるかを考えたら、自然とこうなった」。

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 初年度の売上高こそ2千万円に届かなかったが、年々事業は拡大。14年度の売上高は15億円を超え、15年度は21億円の売り上げを見込むなど、右肩上がりに成長している。

 ソーシャル・ビジネスという性質上「業績が上がれば、それだけ途上国の貧困解消や社会問題の解決に近づく」(田口さん)。このため、社員の仕事への意欲は高く「いかに早く、効率よく業績を上げるか」を常に意識しているという。さらに、3カ月ごとに田口さんが全社員と面談。夢や志を語り合うことで、新しい事業が生まれたこともある。

 田口さんは「社員のモチベーションを常に高く保てば業績は上がる。ワークライフバランスを取ることは、モチベーションの向上につながる」と力を込める。事業が大きく拡大した今も、社員たちの働き方は変わっていないという。


=2016/02/26付 西日本新聞朝刊=

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