HIV 細胞間感染の仕組み解明 熊大など研究班 新薬開発に期待

西日本新聞

 熊本大エイズ学研究センター・国際先端医学研究拠点施設と理化学研究所などの研究班は、エイズ(後天性免疫不全症候群)の原因ウイルス(HIV)が細胞から細胞へと感染拡大するメカニズムを解明した、とする研究成果をまとめた。

 HIVは、CD4陽性細胞とマクロファージという2種類の免疫細胞に潜り込んで増殖しながら、免疫細胞の破壊を繰り返すとされる。マクロファージの場合、感染したマクロ細胞から別のマクロ細胞へ伸びる極小の管を通じて侵入を繰り返すルートと、感染したマクロ細胞の外に出て別のマクロ細胞に侵入するルートがあることは知られていた。

 研究班は、感染したマクロ細胞から極小の管が伸びる過程を分析。通常はマクロ細胞内に均等な濃度で存在するタンパク質の一種が、HIVに感染するとマクロ細胞の上方に集まって高濃度になり、管の形成を促進する働きをしていることを確認した。

 化合物約6800種類の中から、管の形成を阻害する化合物を見つけて投与すると、管を通じた感染は抑制できたという。マクロ細胞の外からの感染は止められなかった。今回の研究の論文は米科学雑誌「Journal of Immunology」電子版に1月16日付で掲載された。

 CD4陽性細胞においても極小の管を通じた感染ルートがあるとの報告があり今回のマクロ細胞での研究成果が、CD4細胞でも適用できる可能性がある。

 エイズ治療は、薬剤療法が発達し、発症をかなり抑えることができるようになった。一方で、体内でHIVが変異して治療薬に耐性を持つようになる「薬が効かないHIV」の出現が問題となっている。研究班の熊本大エイズ学研究センターの鈴伸也教授によると、現在の主な薬剤はHIVそのものを標的としているが、管形成を阻害する薬剤であれば、HIVの変異は起きないという。

 鈴教授は「今回の研究成果に基づいて新薬の開発ができれば、『薬が効かないHIV』の出現を懸念する必要がなくなる」と意義を語る。ただし「マクロ細胞の外からの感染ルートと、CD4細胞におけるHIV増殖については、さらに研究が必要だ」と話す。さらにCD4細胞とマクロ細胞間の感染経路についても「存在し得る」としており、こちらの研究も求められる。


=2016/02/27付 西日本新聞朝刊=

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