公立中の制服“経済格差” 素材、機能2万円違い 同級生との「比較」不安も

西日本新聞

 教育の場に貧富の差を持ち込まない-。それが、学生服を公教育に導入した理由の一つとされる。九州の各教育委員会によると、8政令市・県庁所在地の市立中学校は全て制服を導入。多くは「標準服」と呼ばれる詰め襟やセーラー服だが、同じように見えてもブランドや素材などで価格に開きがある。同じ自治体で標準服、ブレザー型と学校で異なるケースも。義務教育の制服にも少なからず経済格差が生じている。

 「夏服を涼しく改良しました」「ブランド製品で高級感が違います」

 福岡県粕屋郡の女性(42)は2月、長女(12)が今春進学する公立中の新入生保護者説明会に参加して驚いた。同中は標準服を採用しているが、学校が指定する四つの制服業者から、それぞれ取り扱う標準服の特徴説明があったのだ。

 抗菌、瞬間消臭、形態安定、洗濯機で丸洗いOK、撥水(はっすい)、UVカット、ストレッチ素材…。各業者が3~4種類の商品を扱い、価格で着心地やポケット数も違う。詰め襟の上下セットは一番安いもので2万4750円。最高値は大手スポーツメーカーの「数量限定品」で4万4千円だった。

 女性は「家計の状況に応じて選べるのはいいけど、友達と比べられてしまうのでは」。セーラー服のリボンも価格で光沢や質感が違い、ある女児(12)は「リボンだけでもいいものを買ってほしい」と話した。

 一方、ブレザーの採用校には、服装の乱れを防ぐために標準服から切り替えた学校もある。ただ独自のデザインが多く、同じ自治体の公立中でも進学先によって価格が異なっている。

 制服メーカー大手「トンボ」(岡山市)ユニフォーム研究室の佐野勝彦さんによると、現在の制服の始まりは、新たな学校制度が始まった昭和20年代。導入に法律的根拠はなく、物資不足のころ、子どもが日々の服装を気にせず、学校に行きやすいようにと、当時の文部省が「標準的な服の導入を」と提案したという。

 私費での購入は今も昔も変わらない。兄弟、親戚での「お下がり」も一般的な制服。支給品という考えもあるが、佐野さんは「現在まで、支給品にするかどうかを議論した形跡は見当たらない」と説明した。

 義務教育の現場で標準服に“貧富の差”が生じていることについて、文部科学省児童生徒課は「課題として認識はしているが、制服は校則に基づくもので国として一律の対応は難しい。貧困世帯への配慮など、自治体でも対応を検討してほしい」としている。

=2016/03/08付 西日本新聞朝刊=

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