末期がん患者との向き合い方

西日本新聞

 末期がん患者を支援する福岡市のボランティア団体「ファイナルステージを考える会」が6月22日、設立20周年の記念行事を市内で開いた。足を運ぶと、会場は看護師ら約320人で盛況。代表世話人の岩崎瑞枝さん(57)、世話人の末嵜好子さん(65)、東京・新宿に「暮らしの保健室」を開いている訪問看護師の秋山正子さん(63)による鼎談(ていだん)が興味深かった。

 テーマは会が重視する「傾聴」。まず末嵜さんが1996年に傾聴力養成講座を受講後、傾聴ボランティアを始めたことを報告。最初の相手は50代女性で、彼女が死の準備をして入院していたことなどを話した。

 さらに、全身の筋肉が徐々に痩せて力が入らなくなる筋萎縮性側索硬化症の女性と向き合った場面にも触れ「彼女が唯一、意思伝達できるのは、わずかに動くまばたきだけ。彼女が一番伝えたいことを文字盤を通して一文字一文字読み取っていく作業です」と話したところで、沈黙...。

 当時を思い出して胸がいっぱいになったのか。そんなことを思っていたら「すいません」と言って再開。「私は聴くことは得意としているのですが、大勢の前でお話しするのは緊張して喉がからからです」と続け、会場は笑いに包まれた。私も噴き出しながら、ユーモラスな発言に誠実さも感じ、こんな人に傾聴してもらえたらいいなと思った。

 そして末嵜さんは「まばたきが分からなくて読み取れないこともあった。そのときは、彼女は悲しそうな表情に見える。読み取れたときは安心したような顔をなさる。それが励みにもなった」と語るのだった。

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 「何を聴くか」についての意見交換もあった。

 「特別なことではなく、昨日食べたことや旬の野菜のこと、そういう普通の日常会話も多くあった」と末嵜さん。岩崎さんも「がん患者さんは死ぬこと、生きることについて話をされるかなと私たちは思っているのですが、実は今日のこととかを話す人がたくさんいらっしゃる」と応じた。

 秋山さんも「すぐさま、大それた人生の話にならなくていい。同じ時間に共にいるのが大事で、その延長線上で、何となく心許した中で『実はね』という話が出てくる。今日のみそ汁はなかなかいい味だとか、うんちがたくさん出て良かったとか、日々の中の喜びを共に感じられる感性が傾聴には必要」と語った。

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 大切な人ががんを患って最期を迎えたとき、どう向き合えばいいのだろう。深刻な場面もあるだろうけれど、ユーモアを忘れずに小さな喜びを一緒に感じてあげて-。そんなメッセージを鼎談から受け取った。=2014/07/04付 西日本新聞朝刊=

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