可能性に挑むダンス

西日本新聞

 「JOY倶楽部ミュージックアンサンブル」という音楽グループが福岡市にある。1993年発足。企業などに依頼されて、年に50~60回のコンサートを開き、CDも出しているのでご存じの人も多いだろう。

 メンバーは18~44歳の知的障害者の男女29人。キーボードやアコーディオン、ドラムなど多彩な楽器を使い、テンポの速い曲もしっとりした曲も見事に奏でるプロ集団だ。演奏会に足を運んだ人であれば、あの音色をまた聴きたく思うだろう。そして、あのダンスをまた見たいと願うだろう。

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 ダンスを披露するのは、中村洋平さん(28)。担当はパーカッションだが、自分の演奏の合間に踊りを会場に届ける。

 独創的、コミカル、リズミカル、ヒップホップ風...。説明するには、いろいろな言葉が必要だ。踊るときには、151センチの身長がひときわ大きく見える。

 生後すぐ、ダウン症と診断された。父の洋二さん(65)と母の幸代さん(63)は当初「ダウン症の子は3歳ぐらいまでしか生きられない」という不確かな話に苦しんだ。それでも息子の可能性を信じ、さまざまなことにチャレンジさせた。

 幼いころから積み木やパズルに親しませ、幼稚園に入れ、ピアノも教室で習わせた。小学1年で水泳教室へ。上達すると別のスポーツにも挑戦させたいと考えた。思い出したのが小学校の先生から聞いた「洋平君は学校でよく踊りますよ」という言葉。中1の途中からダンス教室に通わせた。

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 JOY倶楽部ミュージックアンサンブルの活動は、社会福祉法人「JOY明日への息吹」が行う障害者向けの就労継続支援B型の事業だ。洋平さんも他のメンバーと一緒に週5日(午前9時半~午後4時半)、福岡市博多区にある事業所で過ごし、練習で演奏とダンスに磨きをかけている。ピアノも続けている。

 ダンスはさらに、福岡県糸島市の民間教室にも週1回通い、他の生徒と並んでヒップホップダンスとブレークダンスなどをミックスしたフリースタイルを習っている。指導する主税道治さん(38)は「すごいのは、踊りがなかなかできなくても、身に付けようと一生懸命に取り組む姿勢が常にあるところ」という。

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 アンサンブルに入ったのは18歳。最初から自発的に踊った。自ら振り付けを考え、同じ曲でも常に変化させている。両親は「好きなことを見つけてほしいといろいろさせてきて、踊りに出合えてよかった。最適の活動の場を与えてくれるアンサンブルに感謝しています」と語る。

 EXILEのHIROさんに憧れている洋平さん。演奏会で踊る理由を聞くと「お客さんに楽しんでもらいたいからです。『すごいね』と言われたい」と話した。

 ●8月2日演奏会

 JOY倶楽部ミュージックアンサンブルは8月2日午後5時から、佐賀市城内の佐賀県立美術館ホールで演奏会を開く。オリジナル曲や「コンドルは飛んで行く」などを演奏。入場料2700円(前売り2200円)。JOY倶楽部=092(504)9371。=2014/07/25付 西日本新聞朝刊=

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