久留米大がんワクチンセンター開設1年 伊東センター長に聞く 「海外からも患者来院」 「承認申請時期決める」

西日本新聞

 「第4のがん治療法」とされるがんワクチン治療の実用化を目指す研究・診療拠点「久留米大がんワクチンセンター」(久留米市国分町)が7月、開設から1年を迎えた。医師などスタッフは約60人と、開設当初の態勢から倍に増え、来院する患者も増加傾向という。「がんペプチドワクチンの医薬品承認に向けた申請時期のめどを付けたい」と話す伊東恭悟センター長に、活動の進展と2年目の目標を聞いた。

 ‐診療態勢を一本化したセンターができて、患者の動きに変化はあったか。

 「患者は増えている。開設前は1日10~20人だったが、今は平均30人前後来院する。55人だった日もあり、一時期は重症度の高い人だけに診療を制限しなければならないこともあった」

 「患者は全国各地だけでなく中国からも来ている。これまでは福岡市内のホテルに泊まる人が多かったが、最近は半数以上が久留米に泊まっているようだ」

 ‐患者が増えた要因は。

 「若手の医師などスタッフが増えて受け入れ態勢が充実できた。センター開設後、メディアで多く取り上げられた影響も大きい」

 ‐診療の成果は。

 「診療も研究も順調だ。それぞれの患者に適した四つのワクチンを選んで投与する「テーラーメード」型だけでなく、進行がんの患者に20種類のワクチンを混ぜて、早期に打つ方法も順調に進んでいる」

 「抗がん剤治療を受けている患者に対して、いったん抗がん剤をやめてワクチン投与だけにして、その後抗がん剤を再開した結果、長生きできたという症例については論文化した」

 ‐センター開設時、前立腺がんと悪性脳腫瘍である膠芽腫(こうがしゅ)の治療に使うワクチンは3~5年内の実用化を目指すと話していたが。

 「最後の検証段階にあるいくつかの試験も、一つずつ着実に進んでいる。特に抗がん剤が使えない高齢の前立腺患者向けのワクチンについては、医薬品として承認申請する時期のめどを2年目のうちにつけたい」

 ‐強化したいことは。

 「ワクチンの効果を上げて、より長生きできるようになるため、副作用のない漢方薬を活用する臨床試験にも力を入れていきたい」

 「がんワクチンの発展と実用化をにらんで8月に初の研究会を開く。全国の医師たちと交流する場として今後も年1回、開きたい」=2014/08/03付 西日本新聞朝刊=

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