レセプト非開示でいいのか

西日本新聞

 ずいぶんと時間がかかるのだなというのが率直な感想だ。

 福岡市が運営する国民健康保険(国保)に加入する40代男性が、市内のAクリニックに通院した際の診療報酬明細書(レセプト)を市に開示するよう請求。ところが市が開示を拒否したため、男性は市長相手に、異議を申し立てたのが昨年9月19日。それから約11カ月になるが、市長は異議への回答を示していないのだ。

 このレセプト非開示の問題は、この聴診記で2回(昨年9月27日付と同11月22日付)取り上げた。あらためて説明すると、男性が開示を求めたのは、「不安障害」と診断して向精神薬を使った治療の内容に疑問を抱いたためだ。市が非開示にしたのは「Aクリニックに確認すると、開示すると男性の今後の治療に支障を及ぼす恐れがあるとの意見だったから」だ。

 異議申し立てを受けた市長は昨年10月16日、この問題について、市個人情報保護条例に基づき、市個人情報保護審議会(不服申し立て部会)に諮問。同部会は昨年末までに、非開示とした理由を説明する「弁明意見書」を市側から、弁明意見書への反論を記した「反論意見書」を男性から、それぞれ受け取っている。男性は反論意見書に「健康を取り戻し、現在はどこの医療機関にもかかっていない」と記し、開示で治療に支障を及ぼすことはあり得ないことを訴えている。

 部会は男性と市側に意見陳述の機会も与えた。あとは部会メンバーで審議して開示か非開示かの結論を出し、市長に答申する運び。市長は答申を尊重し、市側の対応をあらためて判断することになる。

 ちなみに部会メンバーは村上裕章・九州大大学院法学研究院教授(部会長)▽五十川直行・同院教授▽石森久広・西南学院大大学院法務研究科教授▽今泉博国・福岡大経済学部経済学科教授▽田邉宜克弁護士‐の5人だ。

 男性は開示請求後、Aクリニックが国保に診療報酬を過剰に不正請求した疑いがあることにも気付き、開示の必要性を一層感じている。これについても反論意見書に記している。

 患者の個人情報を本人に非開示にするのは変だし、非開示の理由も理解し難い‐。多くの人がそう考えるに違いない今回の事案を5人はどう扱うのか。市民が納得できる判断を、速やかに出してほしい。=2014/08/22付 西日本新聞朝刊=

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