入院費支払い増の理由は

西日本新聞

 「80代の身内がA病院に入院している。身内がいた一般病床を地域包括ケア病床に変更したとかで、支払いが増えた。食事や看護といった入院環境は変わってないと思われるのになぜか。仕組みを紙面で紹介して」。九州北部の女性からそんな要望を受けた。

 地域包括ケア病床は国による本年度からの診療報酬改定で新設。手厚い治療が必要な急性期を経過した患者を受け入れて在宅復帰に向けて医療管理やリハビリを行うことなどが役目だ。

 女性によると、身内がいた一般病床が地域包括ケア病床に変更されたのは最近。支払いは変更前は月額6万7800円だったが、変更後は月額9万5400円。2万7600円も増えたという。

 仕組みをA病院に説明してもらおうと取材を申し込んだが「忙しい」との理由で応じてくれなかった。仕方がないので九州厚生局に取材したり、女性が保管するA病院からの請求書を分析したりして探った。

 変更前の月額6万7800円の内訳は(1)「自己負担額」4万4400円(身内は後期高齢者なので医療費全体の1割負担で本来なら10万円近くだが、高額療養費制度で減額)(2)「食事療養負担額」2万3400円。

 一方、変更後の月額9万5400円の内訳は(1)自己負担額4万4400円(やはり高額療養費で減額)(2)食事療養負担額5万1千円。

 つまり支払い増の原因はもっぱら食事療養負担額だ。変更前の同額2万3400円は、一般病床の食事代(1食260円・1日3食で780円)の30日分に違いない。ちなみに患者が負担する食事代が1食260円と比較的安いのは一般病床が急性期の患者の担当で、食事も治療の意味合いが強
く、費用の多くが公的医療保険で賄われるからだ。

 さて、ここで確認しておきたいのは、地域包括ケア病床は、一般病床か療養病床のどちらかの枠組みに属するということだ。

 A病院が、一般病床を「一般病床の枠組みに属する地域包括ケア病床」に変更したのであれば、食事療養負担額も同じままで今回の支払い増は生じないはず。よって「療養病床の枠組みに属する地域包括ケア病床」に変更したとみられる。その場合、原則として急性期後の患者が担当で、食事代や居住費は給付対象外とする介護保険との均衡を図る必要があるため、65歳以上は食事代が高くなり、居住費の支払いも発生する。

 変更後の食事療養負担額5万1千円は、食事代(1食460円・1日3食で1380円)の30日分に居住費(1日320円)の30日分を加えたものに違いない。

 要するに今回の支払い増加は、身内が治療が進み、一般病床から療養病床に移ったと考えれば理解しやすい。A病院さん、この見立てで正しいですか。=2014/10/03付 西日本新聞朝刊=

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