医療制度持続のために

西日本新聞

 私たちが使う医療費は年々増加して年間40兆円に迫ってきた。このまま膨らみ続けると、財政が破綻して公的医療保険制度が崩壊する恐れがあるが、どうしたらいいのか。

 「考える材料」を、大企業の社員らが加入する健康保険組合の連合組織「健康保険組合連合会」がインターネットで発信している。本年度から設けた啓発サイト「あしたの健保プロジェクト」。そこを見ると「日本の医療費は、加速する高齢化などを背景に毎年1兆円を超える規模で増加しています。中でも、医療費の6割以上を占める高齢者医療の増加が著しく、放置できない喫緊の課題となっています。この高齢者医療費を支える現役世代・企業の負担は、年々重くなりもはや限界」との訴えがある。

 「ゼロからわかる!健康保険基礎知識」という欄では、被保険者1人当たりの年間健康保険料(約半分は企業負担)が2007年は38万3千円程度だったのが、14年は約46万6千円と、7年で8万3千円余り増加したことを報告。

 さらに、自身が払う健康保険料を入力すると、そのうちのいくらが高齢者医療費に利用されているかを教えてくれるコーナーもある。

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 中小企業の社員らが加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)の福岡支部も8月に福岡市で催した支部大会の中で「考える材料」を提供していた。

 「持続可能な医療保険制度について」と題した講演のことで、講師の馬場園明・九州大大学院教授(医療政策学)が、公的医療保険を持続させるには、後期高齢者医療制度への公費(税金)の負担割合を増加させる必要があると強調した。

 同制度の窓口負担以外の財源は▽後期高齢者の保険料1割▽現役世代の保険料からの支援金4割▽公費5割-が現状。馬場園教授は「リスクに見合った保険料を支払うための収入が保障されていない高齢者の医療費については医療保障とし、税金によって国民全体で公平に負担すべきだ」との考えを持ち、公費の負担割合増を唱えたのだった。

 一方で「高齢者が長期入院していいことは何もなく健康状態はむしろ悪くなる。寝ている所と生活の場が同じで動かず、廃用性萎縮が起こるからだ。なのに毎月どうして60万円(医療費・概算)払わないといけないのか」と、「医療費の無駄」にも言及していた。

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 医療費増大の主要因である高齢者医療費をだれがどの程度賄えばいいのか。この問題の議論も大切だが、私は、馬場園教授が指摘したような「医療費の無駄」を明確にし、排除することの方が重要と考える。

 「効果のない診療」や「医療がやる必要がないのにやっていること」は結構あるのではないか。取材に努め、「考える材料」を少しでも提供したい。=2014/10/24付 西日本新聞朝刊=

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