尊厳死協会が名を変えるのは

西日本新聞

 一般社団法人「日本尊厳死協会」(本部・東京)が来年4月からの会の名称変更を検討しているという。

 同協会の岩尾總一郎理事長が1日に福岡市で講演した中で話していた。

 理由は、「日本尊厳死協会」で会場を借りようとすると「死」が名称にあるため断られることがあったり、名称にある「死」のために会員獲得が進まなかったりするからだという。

 同協会は1976年に「安楽死協会」として発足。現名称は83年からで30年以上経過。「尊厳死」を実現するための「尊厳死の宣言書」の普及に努めており会員は12万1405人(今年10月1日現在)。支部組織も九州支部や北海道支部など全国に九つある。

 歴史と広がりがあるしっかりした団体との印象が私にはあるが、それでも名称を変更しないといけないのは「死」をタブー視する人が多いということか。

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 同協会は「尊厳死」を「不治かつ末期の病態になった時、自分の意思により無意味な延命治療を中止し、人間としての尊厳を保ちながら死を迎えること」と定義。「自然死や満足死と同義で、積極的な方法で死期を早める安楽死とは根本的に異なる」としている。

 脳腫瘍で余命わずかと宣告された米西部オレゴン州の女性ブリタニー・メイナードさんが今月1日、自宅で医師から処方された薬を服用して29歳で死亡したことがニュースになったが、このケースは同協会の「尊厳死」には当たらない。

 同協会の「尊厳死の宣言書」には「ただ単に死期を引き延ばすためだけの延命措置はお断りします」などと記されており、入会のときに自署することになっている。会員はそれを、必要が生じたときに医師に示すが、医師が理解しない場合は協会が理解してもらうように働きかける仕組みだ。

 会員数から計算すると「尊厳死の宣言書」の国民全体への普及率は約0・1%。岩尾理事長は講演で「もう少し普及させなければ」と語っていた。

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 60歳以上の約千人に対する厚生労働省の2013年の調査によると、「自身の死が近い場合に受けたい医療や受けたくない医療について、家族とどのくらい話し合ったことがあるか」との問いに「詳しく話し合っている」と回答したのは4・1%。「一応話し合ったことがある」は49・2%で、44・3%は「全く話し合ったことがない」だった。

 さらに、自分で判断できなくなった場合に備えて、治療の希望を記した書面を作成しておくことに63・7%は賛成としたが、うち実際に作成しているのは6%だった。

 この調査でも「死」へのタブー視がかなりあることがうかがえるが、実際はどうか。皆さんは「自分の終末期や、その時の医療」をどう考えていますか。

=2014/11/07付 西日本新聞朝刊=

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