「臓器提供」考える授業

 今月6日、福岡教育大付属福岡小学校(福岡市)で6年生約40人が「臓器移植」関係者3人から話を聞くユニークな授業があった=写真。子どもたちが命を考えるきっかけになればと同小が独自に企画。福岡県移植コーディネーターの岩田誠司さんに関係者を紹介してもらって実現したという。

 3人は岩田さん▽腎臓の病気を患い、腎移植を求めている40代男性▽50代だった妻が改正臓器移植法に基づいて脳死下で臓器を提供した50代男性。岩田さんによると、脳死下での臓器提供者の家族が公の場で話をするのは九州では初めて。

 授業で50代男性は「(妻は)心臓は動いているのに脳死と言われ、きつく感じた」「(妻の脳死下での臓器提供を家族として承諾したことに)後悔はしていない。日本のどこかで(妻の体が)生きているという希望があるから」と話した。

 児童たちは3人の話を聞いた後に議論。臓器提供について「提供した臓器は生きている人に使われるので自分が生きているのと同じ感じになり、いいと思う」と前向きな声がある一方「親からもらった体にメスを入れられるのは嫌」と慎重な意見も出ていた。

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 臓器提供について真剣に考える児童たちを取材しながら私が思ったのは、では私たち大人はどれだけの人がしっかり考えているのだろうかということだった。

 というのは内閣府が2013年、20歳以上の3千人(有効回答1855人)に実施した調査で、臓器提供をする・しないといった意思を運転免許証などに記入しているのは12・6%にとどまっていたからだ。

 1997年に施行された臓器移植法の下では、脳死からの臓器提供は本人の書面での意思表示が必要だったが、2010年施行の改正臓器移植法により、本人の意思が不明でも家族の承諾があれば提供可能となった。ただ内閣府の13年の調査によると、脳死になった家族が提供の意思表示をしていなかった場合、提供を承諾しないとした人は49・5%で、承諾するの38・6%を上回っていた。一方で書面で提供の意思を示していた場合、87・0%がその意思を尊重するとしており提供につながるか否かは本人の意思が大きなポイントと考えられる結果だった。

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 授業の最後、岩田さんは「(臓器を提供するかしないかは)難しいテーマだとは思うが、これを考えることは生きている今を大事にすることにつながる」と述べた。腎移植を求めている40代男性は「おまえは人の死を待っているのではないかと言われることがある。そうじゃないと思ってはいるが、自分の中で完全に解決できていないところがある」と語っていた。

 私自身、いろいろな意見に触れながら、この問題への考えを深めていきたい。=2014/11/14付 西日本新聞朝刊=

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