アルコール、ギャンブル... 依存症 女性同士で克服 福岡の支援施設「限定」の集い導入

西日本新聞

 アルコールやギャンブルなどの依存症から回復を目指す人を支援する福岡市博多区の通所施設「ジャパンマック福岡」が、当事者や家族で語り合うミーティングに「女性限定」を導入した。女性の依存症が男性より少なく、異性の前だと本音を打ち明けにくいという声に応えた試みで、参加者からは「安心して話せる」と喜ばれている。

 ジャパンマックは東京に拠点を置くNPO法人で、回復支援の宿泊施設などを備える。「福岡」は昨年開設され、回復プログラムの一環として体験を分かち合うミーティングを開催。当初は男女一緒のみだったが、今年7月から女性限定を始めた。

 厚生労働省の推計(8月発表)によると、ギャンブル依存症の男性は438万人、女性は98万人。アルコール依存症の経験者も男性の約95万人に比べ、女性は約14万人。「福岡」でも女性の利用者が少なく、中には「男性を怖く感じる」「男性の前だと自分の過去を伝えづらい」という人もいる。

 岡田昌之施設長は「ミーティングに参加するスタッフや医療関係者も全て女性にしており、今後、効果は格段に上がるだろう。回復に専念できる環境づくりをさらに進めたい」と話している。ジャパンマック福岡=092(292)0182。

 ●支援広がるきっかけに

 ▼NPO法人福岡ジェンダー研究所の窪田由紀副理事長(臨床心理士)の話

 男らしさ、女らしさの意識が根強い社会だからこそ、女性限定で集まる意味は大きい。女性としての生きづらさを打ち明けられる場が増えれば、これまで自分から声を上げられなかった女性たちが、支援につながるきっかけになる。

 ●経験者のスタッフが提案

 「悩み共有の場に」

 女性限定ミーティングを提案したのは、ジャパンマック福岡のスタッフで精神保健福祉士の松尾玲子さん(58)。自身にも依存症で苦しんだ経験がある。

 30歳のころ、3人の子を育てる重責に耐えきれず、酒に逃げた。「子育ては楽しいもの」と決めつける周囲に弱音を吐けず、酔っているときだけ「何とかなる」と思えたという。

 3年後、アルコール依存症の自助グループに出合う。その中で「母親だから家族のために酒をやめなければ」と自分を追い詰めていたことに気づき、仲間から「自分が生きるためにやめる」ことを教えられた。

 一方、グループに参加しようとして、世間の目を気にする夫に暴力を振るわれる人もいたという。スタッフとして支援する中でも、家事や育児があって自分の症状にだけ向き合うことが許されずに悩む女性が少なくないと感じた。男性は妻が相談に来ることも多いが、女性は「女のくせにギャンブルなんて」といった偏見から家族の協力を得られにくい人も目立つという。

 こうした経験から「同性だからこそ理解でき、気持ちを共有できる場」を提案。家族に気兼ねせず外出できるよう毎週火曜の日中に開き、毎回10人前後が「女らしさの落とし穴」「古い生き方と新しい生き方」などのテーマで、互いの話に耳を傾け合っている。

 松尾さんは司会を務め、自分の体験も語るようにしている。「支援とつながれば回復できる。古い生き方を手放すのは難しいけれど、新しい生き方の方がずっと楽ですよ」。そう伝えるために。=2014/11/23付 西日本新聞朝刊=

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