若者救え 命のメール 「福岡いのちの電話」相談に活用 深刻な内容、自殺志向も 寄り添い返信

西日本新聞

 悩みを抱えた若い世代にも利用しやすいようにと、社会福祉法人「福岡いのちの電話」がメールによる相談を受け付けている。電話での会話を敬遠しがちな人からの相談につながっており、「声は消えるけれど、メールだと落ち込んだときに読み返せる」と文字ならではのメリットも。一方で、自殺志向がうかがえる深刻な内容が目立ち、文字だけでいかに真意を読み取るかなど、対応に課題も浮かび上がってきた。

 メールによる相談は2006年に「東京いのちの電話」が初めて導入。福岡は11年から始めた。「日本いのちの電話連盟」のホームページからメールを送ると、福岡を含めた全国7カ所のセンターに振り分けられ、専門の相談員から返信が届く仕組みになっている。

 昨年のメールによる相談は全国で3274件。うち7割以上を10~30代が占めた。「福岡いのちの電話」で相談員の指導に当たる臨床心理士の松尾公孝さん(57)は「問われたらすぐに答えなければならない、声に出る感情を読み取られたくない-など、電話に心理的負担を感じる人から好まれているようだ。メールが気持ちを伝える唯一の手段となっている若者も少なくない」と分析する。

 相談のうち、自殺に関する内容は電話が約1割に対し、メールは約4割。文字だと「死にたい」などと書きやすく、単純に深刻度を比較できない面もある。一方で「重く受け取られるのが怖くて誰にも相談できない」と孤立を深めて送信してくる人もおり、相談員には電話と異なる対応が求められるケースもある。

 その点、相談員の男性(37)は「電話特有の声のぬくもりをメールでも表現できれば」と文面に配慮。推敲(すいこう)に時間をかけ「返信を待っていると伝えるようにしている。あなたのことを思っている人がいると気付いてもらえたら」と話す。

 相談員の高齢化が進み、若者の悩みを共有できるかも課題で、今後は臨床心理士を目指す学生に助言を求めるなど若い力を借りる方策も検討していくという。常務理事の五斗美代子さんは「死を選ぶ一歩手前で相談してくれる人もいる。踏みとどまれば違う可能性が開けるはず。これからも寄り添い続けたい」と話している。

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【ワードBOX】いのちの電話

 自殺防止を目的として1971年に東京で創設。77年、運動を全国に拡大しようと「日本いのちの電話連盟」が結成された。九州では宮崎を除く各県に広がり、福岡県内には北九州と福岡の2カ所ある。今年で30周年を迎えた「福岡いのちの電話」では、自殺志向の電話相談はこの20年で6倍以上に増加しており、専門の研修を受けた相談員が365日、24時間体制で対応。ただ、最近は相談員の担い手不足が課題となっている。=2014/12/14付 西日本新聞朝刊=

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