治療を医師任せにせず

西日本新聞

 この秋、福岡県内であったある催しで、50代の医師がこんな話をしていた。「医師の心理としては、患者さんの余命は、短めに言ってしまう。実際に伝えた余命期間より早く亡くなった場合、医師としての責任が問われかねないから」

 今年初めに九州南部であった講演会では、40代の病院勤務医が、院長や各診療科部長(医師)、看護部長などが集まって開かれる病院の運営会議について、こう解説していた。「自分も部長なので出席するのだが、患者さんがどれだけ治ったか、どれだけ喜んでくれたか、なんて話はない。手術件数をもっと増やせ、ベッド稼働率が80%を切っているぞ、などお金のことばかり」

 私たちは病気やけがに見舞われたとき、診療を担当してくれる医師とどう向き合ったらいいのだろう。

 多くの医師は、患者の立場や気持ちを第一に考えて診療に当たってくれるのは間違いない。だが、医師たちもときには、患者のことよりも自己保身や、収入のことを優先的に考えてしまうこともあるだろう。

 ■

 ■

 血液のがんと闘った体験がある福岡市の女性は、秋に同市で開かれた医療講演会で「自分の病気についてある程度の知識を身に付けることが大事」と強調していた。というのは、自分が知識を持つことで、医師とよく相談ができ、納得して治療方針を決めることができるからという。自分が納得した治療であれば「自分も(治療に)責任が持てる感じになり、この治療で頑張るしかないと思えるようになる」とも話していた。

 ■

 ■

 今年、私はこの「聴診記」で、医師が処方する薬を飲み続けたものの、副作用によって、体の状態がかえって悪くなったとみられる人たちを何度か紹介した。

 私たちが使う医療費が年々増加して年間40兆円に迫り、このまま膨れ続けると、財政が破綻して公的医療保険制度が崩壊する恐れがあることも取り上げた。

 患者としての私たちは、自身の健康をはじめ、公的医療保険制度を守るためにも、不必要な医療や不適切な医療を見過ごすわけにはいかないのだ。

 病気やけがで医療機関にかかるとき、診療のすべてを医師任せにしない-。このことを読者の皆さんとあらためて確認しながら、今年のこの欄を締めくくりたい。=2014/12/26付 西日本新聞朝刊=

PR

医療・健康 アクセスランキング

PR

注目のテーマ