HIV 理解深めて 福岡市教委 小学生に副読本 感染の誤解、偏見解消へ

西日本新聞

福岡市教委が製作した人権教育の副読本「ぬくもり」 拡大

福岡市教委が製作した人権教育の副読本「ぬくもり」

 エイズウイルス(HIV)感染者への差別や偏見をなくそうと、福岡市教育委員会は4月から、小学5、6年の道徳の授業で活用している副読本に、HIVへの理解を促す内容を盛り込む方針を固めた。HIVは治療法が進歩し「死の病」ではなくなった。学習指導要領は小学校での指導までは求めていないが、差別や偏見解消のためには啓発が必要と判断した。文部科学省によると、小学校の授業で副読本を使って感染者の人権啓発を行う試みは珍しいという。

 市教委によると、小学生向けの副読本「ぬくもり」は5種類あり、同和問題や女性の雇用問題について取り上げ、主に道徳の授業で活用している。学習指導要領によると、性感染症については中学から保健の授業で学習する。市内の小学校で使用されている教科書のHIVの記述は、ウイルスや病気の症状の説明が中心で、感染者の人権については触れていない。

 一方、HIVは性行為を除く日常生活を通じて感染する心配はないが「唾液や蚊で感染する」といった誤解が今も残る。就職差別や医療機関での感染者の診療拒否といった人権侵害も起きている。このため市教委は、病気への理解を深めてもらうため、改訂時期を迎えた小学5、6年の副読本の約4ページに関連の内容を盛り込むことにした。

 イラストを添えた物語仕立てで、主人公が悩んだ末に友人に感染を打ち明け、受け入れられる内容にする予定。「プールで一緒に泳いでも感染しない」など、正しい理解に必要な説明も盛り込む。感染者の相談に応じている市民団体「人権と共生を考える

 エイズ・ワーカーズ・福岡」や福岡法務局の助言を受けて改訂作業を進めている。

 感染者や家族を支援するNPO法人「ぷれいす東京」の生島嗣(ゆずる)代表(56)は「感染者は偏見を恐れ、職場などで事実を打ち明けられない現実がある。単に差別はいけないと伝えるのではなく、子どもたちが自分の問題として捉えられるような内容にしてほしい」と期待している。=2015/01/13付 西日本新聞朝刊=

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