福岡市の特別支援学校 医療的ケア 教員に義務化 18年度実施 痰吸引を研修

西日本新聞

 福岡市教育委員会は、これまで看護師や保護者に限ってきた特別支援学校における医療的ケア(医ケア)を教員に拡大する方針を固めた。危険性の低い口腔(こうくう)内の痰(たん)吸引は、対象児童生徒を指導する全教員に原則義務付ける。教員に医ケアを認める地域は多いが、対象教員全員に義務付けるのは全国的に珍しいという。看護師の指導の下、教員を医ケアの担い手に加えることで安全性を高める狙いだ。2018年度の実施を目指す。専門家は「医ケアを教員に必要な技能の一つと定める大転換だ」と話す。

 医ケアは、痰の吸引や管を使った栄養注入(経管栄養)など、生活する上で日常的に必要な医療行為。市立の特別支援学校では8校のうち5校に医ケアが必要な児童生徒38人がいる。

 市教委はうち33人が在籍する肢体不自由学校2校に看護師計7人を配置して、医ケアの実施を看護師に限定していたが、残る知的学校3校には4月まで看護師がいなかったため、保護者が校内に待機して医ケアを行っていた。

 市教委が新たに策定した医ケアの新指針では「保護者に常時学校での待機を求めることは妥当と言えない」と転換し、知的学校3校にも5月から1人ずつ看護師を配置した。

 一方、危険性の低い口の中の痰吸引は、直接指導する教員全てが医ケアを行うのに必要な研修を修了するものとし、「実施できる能力を持つことが望ましい」との言葉で原則、義務付けた。鼻腔(びくう)内の痰吸引や胃ろう・腸ろうによる経管栄養は、教員と保護者、指導医が同意した上で校長が認めた場合に教員が実施するとした。気管内の痰吸引や経鼻経管栄養は原則として看護師が行う。

 医ケアに詳しい福岡女学院大の猪狩恵美子教授は「全教員が研修を受けて必要な技能を身に付ければ、子どもの健康に対する意識が高まり、途切れなく授業をできるなど教育的な効果も高まる」と評価している。

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 【ワードBOX】医療的ケア(医ケア)

 痰(たん)の吸引や管を使った栄養注入(経管栄養)など日常生活を送る上で必要な医療行為。医師や看護師、家族にしか認められていなかったが、2012年の介護保険法改正で、教員や介護職員も一定の研修を受ければ「認定特定行為業務従事者」として実施が可能となった。(1)口腔(こうくう)内の痰吸引(2)鼻腔(びくう)内の痰吸引(3)気管カニューレ(挿入される管の一種)内の痰吸引(4)胃ろう、腸ろうによる経管栄養(5)鼻からの経管栄養-が特定行為とされる。=2015/05/17付 西日本新聞朝刊=

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