マダニ感染 九州突出 57人確認 全国の4割強 致死率3割 治療法なく

西日本新聞

 マダニが媒介するウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群」(SFTS)が広がっている。感染者が確認されていなかった福岡県内で5月に初めて見つかり、感染者は九州の全7県に拡大した。西日本新聞のまとめでは、宮崎県で全国最多の23人が感染し8人が死亡するなど、今月18日までに7県の感染者は累計57人。SFTSに有効な治療法や特効薬はなく、専門家は「致死率は約3割。国内で確認されたウイルス感染症の中で最も高い」と指摘。マダニの活動期の春から秋にかけて感染が増えることから、マダニにかまれるなどした場合は早めの受診を呼び掛けている。

 国立感染症研究所(東京)によると、国内初の感染が確認されたのは2013年1月。今年5月末までの感染者数は122人(九州52人)で、うち34人が届け出時点で死亡していた。50~80代を中心に近畿以西の16県で確認され、九州7県で全国の4割強を占める。

 なぜ九州に多いのか。同研究所によると、マダニは国内に広く生息しているが、比較的温暖な九州は生息数が多く、活動期も長いためとみられる。

 SFTSはウイルスを持つマダニにかまれることで人に感染する。痛みやかゆみはほとんどなく、気付かないうちに感染していたケースもある。血液中の血小板や白血球が減少し、6日~2週間の潜伏期間を経て、高熱や嘔吐(おうと)、下痢などの症状が出る。心臓病や糖尿病などの持病がある高齢者は重症化しやすいという。

 マダニは、主に草むらや山林などに生息しており、農作業や山歩きなどでは注意が必要。このうち感染源となるのはフタトゲチマダニやタカサゴキララマダニなどとみられるが、ウイルスを持つ個体は数%に限られ、かまれても必ず感染するわけではないという。通常3~8ミリの個体は血を吸うと1~2センチに肥大。一度かむと1週間以上血を吸い続けることもある。

 ペットの犬や猫に付いたマダニにかまれる恐れもあり、目の細かなくしをかけたり、駆除剤を使ったりするのも効果がある。

 同研究所の西條政幸ウイルス第1部長は「13年の初確認以前は『原因不明』と診断されていたケースが、研究が進んでSFTSと特定できるようになった。治療法など不明な点も多く、かまれないように注意することが一番の予防になる」と話している。

 ●マダニから身を守るポイント

 (1)草むらや山林に入る場合は、首にタオルを巻いたり、長袖、長ズボンを着用したりして肌の露出を減らす。ツツガムシ用の虫よけ剤でも一定の効果がある。

 (2)畑仕事や登山などから帰った際には、上着や作業着を家に持ち込まない。粘着テープで服に付いたマダニを取り除く方法も効果的だ。入浴して体にマダニが付いていないか確認する。

 (3)吸血中のマダニを見つけた場合は、自分で引き抜こうとせず、医療機関(皮膚科)を受診する。無理に引き抜くと、マダニの一部が体内に残って化膿(かのう)する恐れがある。=2015/06/19付 西日本新聞朝刊=

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