岩崎宏美さん 笑顔の裏の病

西日本新聞

 歌手の岩崎宏美さん(56)は約8年前、東京でのコンサートのさなかに、周囲のものが回って見えて、足もとがふらついた経験がある。「高さ9センチのヒールを履いて歌っていました。高い靴は年齢的にもう無理なのかなあと思いながら、『ちょっと低い靴に代えてもいいですか』とお客さんの笑いを取りながら、いったん舞台のそでに入り、難を逃れました」という。それから約4年後の2011年、船上ライブの仕事を終えて陸に上がった後も船酔いのような感じが続いた。医者に診てもらうとメニエール病と診断された。内耳の器官に内リンパ水腫ができるのが原因で、めまいや耳鳴り、吐き気などの症状が出る病気だ。「振り返れば、あのコンサートでのふらつきもメニエール病の症状だったのでしょう。メニエール病と更年期の症状はよく似ているので、なかなか分かりませんでした」と話す。

 今は症状は出なくなったが、岩崎さんはコンサートのときは必ず、客席側にLEDライトが赤く点灯するようにスタッフに装置を設定してもらっている。「万が一、再び揺れるようなことがあったとき、自分の視線をどこか1点に合わせ続ければ、揺れはおさまりますから。赤い点灯はそのための備えです」という。

 岩崎さんは不眠症を患ったこともある。30歳で結婚したが離婚し、5歳と2歳半だった息子2人と離れざるを得なかったことが原因だという。「心療内科に通い、睡眠薬を飲み続けた。でもある日、睡眠薬が効き過ぎて、ふらふらしているのに舞台に立ってしまった。そのとき、こんなことをしていたら、絶対に自分が壊れてしまうと思って、それを機に、持っていた薬を全部捨てました」という。「その後は、寝られなかったら寝られなくてもいいやって開き直った。すると、そのうち、体は元気になりました」と話す。

 14年ほど前には、バセドー病との診断も受けている。当時、常に手が震え、ひざが笑い、急激にやせた。幸い、治療で症状はおさまったものの、今も薬は飲み続けている。

 たいていの人は病気と無縁でいられるはずがないし、長生きするほど、患った病気の種類も増える。岩崎さんも例外ではないだろう。

 ただ岩崎さんは16歳でデビュー以来、伸びのある歌声と明るい笑顔をいつでもファンに届けている印象が私にはある。病気に伴う大変さをファンに感じさせないようにしながら、この40年間、芸能活動に打ち込んできたに違いない。今回(6月上旬)、私が取材している間も、アハハハと何回も明るく笑われ、元気いっぱいの雰囲気を醸し出していた。すごい人だと思う。=2015/06/26付 西日本新聞朝刊=

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