向精神薬 妊婦への注意は

西日本新聞

 「本剤を投与された婦人が出産した新生児では先天異常のリスクが増加するとの報告がある」「本剤の臨床試験において流産の報告がある」-。いろいろある向精神薬の添付文書には、そんな記述が盛り込まれている。つまり妊婦が向精神薬を服用するのは、生まれてくる赤ちゃんに問題が起きかねないということだ。

 向精神薬を処方する医師たちは妊婦に対し、細心の注意を払っていると信じたいが、果たしてどうか。

 こんな調査結果がある。

 九州の精神障害者らでつくるNPO法人全国精神障害者ネットワーク協議会(ゼンセイネット、事務局・福岡県飯塚市、徳山大英代表)が4月に発行した調査報告書「封印されていた

 恋愛・結婚・子育て

 病者1000人のつぶやき」(110ページ)。その中の「出産のために主治医が減薬または断薬しましたか」との設問に、精神科医療を受ける女性51人のうち、約65%の33人が「いいえ」と回答。さらに「出産のために精神科の主治医に薬の相談をしましたか」との設問には、女性30人のうち約57%の17人が「いいえ」と答えている(調査時期は2012年12月~13年3月)。

 添付文書には「妊婦または妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ本剤の投与を開始すること」との記述も見られ、福岡市で開業する精神科医Aさんも「患者に自傷や自殺などの恐れがあるときは、妊娠中でも向精神薬を使わざるを得ない場合がある」という。

 だがゼンセイネットの幹部は「妊娠時の向精神薬服用の危険性を十分に理解していない医師がいるのは間違いない」と指摘。「10年以上前のことだが、統合失調症を患っていた私の妻は妊娠中なのに向精神薬を飲み続け、流産してしまった。そのときの医師はまったく配慮がなかった」と憤りながら振り返る。

 向精神薬が原因で赤ちゃんに悲劇が起きないようにするには、どうしたらいいのか。幹部は「医者任せにせず、患者側も勉強する必要がある」と訴える。

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 「封印されていた

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 病者1000人のつぶやき」は1冊5千円(税別)で販売中。精神科医療を受ける人たちの恋愛、結婚、子育てに関する調査結果を記載。注文はゼンセイネット=0948(25)8939。=2015/07/03付 西日本新聞朝刊=

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