70代主婦が短大講師に

西日本新聞

 60歳まで専業主婦だったが、70代になってから短期大学で講師として教壇に立っている女性がいる。認定NP0法人日本セラピューティック・ケア協会(福岡県太宰府市)理事長の秋吉美千代さん(76)。教えているのは、セラピューティック・ケアだ。両手で「触れる」を基本に、相手の肩や腕などをゆったりしたリズムでなでる技術で、英国赤十字社が1996年に開発。相手を癒やしたり、認知症の人が相手であれば落ち着かせたりする効果があるという。

 「高卒の私が短大の先生になるなんて、夢にも思いませんでしたが、それでも自信を持って教えています。セラピューティック・ケアについては私が日本で最も詳しいとの自負がありますから」と秋吉さんは話す。

 専業主婦として子育てや目が不自由な義母の介護に忙しかった。それらが終わった後の99年、「人に喜ばれるケア技術を身に付けたい」と向かったのが英国だった。そこで学び、日本に持ち帰ってきたのがセラピューティック・ケアだ。以降、病院や老人施設に出向いて患者やお年寄りに同ケアを無償で提供する活動や、同ケアの普及に打ち込んでいる。

 短大で非常勤講師として教え始めたのは2013年度。佐賀女子短大(佐賀市)健康福祉学科の大谷久也准教授が同ケアの講習会に参加し、学生にも学ばせたいと思って秋吉さんに講師を依頼したのがきっかけだ。本年度からは同大に加え、精華女子短大(福岡市)や九州大谷短大(福岡県筑後市)でも教えている。向き合ってきた学生は約100人(本年度の学生も含む)になる。

 7月上旬、佐賀女子短大で秋吉さんの授業(90分)を見学させてもらった。学生は15人。若者だけでなく40代もいる。全員が介護福祉士の資格取得を目指しているという。

 秋吉さんはこの学生たちに本年度、90分の授業を15コマ(他に実習も)することになっており、私が訪れた日は実技指導が中心だった。秋吉さんは学生たちの動作を見守りつつ「優しく思いやりを持ってするように」「最初のあいさつのときは相手に触れないで」などと指導していた。

 終了後、学生たちに感想を聞くと「将来、仕事に役立ちそう」と笑顔を見せた。秋吉さんは「セラピューティック・ケアを提供していると、表情がずっと険しかった人から笑顔で感謝されるなど、感動的な瞬間に出合うことがある。それを学生さんたちにも経験させてあげたい」と話した。=2015/07/24付 西日本新聞朝刊=

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